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〜弁証から見た「漢方薬」〜

 基本的に漢方(中医)では、患者個人の体質と病状を総合的に判断した上で、治療や投薬を行います。この判断は「弁証」と呼ばれています。つまり、西洋医学で言うところのオーダーメイド治療(個人の体質、体力まで考慮に入れた治療)が、基本となっています。

 つまり漢方薬は基本的に、すべてこの弁証によって処方される薬であり、本来は個々の患者個人のために処方されます。そのため、処方された以外の人が服用すると、効果が全く無いばかりか、非常に危険な状況に陥る可能性もあります。(親兄弟であっても、体質が異なれば服用することは出来ません。)
 
 現在日本で一般的に市販されている漢方薬や健康食品は、体質が異なる人が飲んでもそれほど危険で無いように、効果が弱められています。しかしやはり自分の体質や症状にあった漢方薬を使うことがベストです。

 2002年11月に弊社主催にて開催された漢方学習会では、来場の皆様からの質疑応答で、日本で現在一般的に販売されている漢方薬、健康食品について、どのような注意点があるかを、講師の何永慶先生に回答していただきました。その一部を転載いたします。


(1)高麗人参(紅参)
 高麗人参は上薬(上質の薬)のひとつで、証(体質と病状を総合的に判断したもの)があえば非常に良く効く薬です。しかし以下の症状の有る方は飲んではいけません。
(1)高血圧(2)熱性症(3)尿毒症(4)不眠症(5)痛風(6)アレルギー

(2)冬虫夏草
  冬虫夏草は腎臓関係にとても良い上薬で。しかもどのような体質の人が飲んでも問題ありません。しかし、この薬は人工栽培ができませんので、非常に高価なものです。冬虫夏草(学名Cordyceps Sinensis)は、麦角菌の一種がコウモリガの幼虫に寄生し成長したものを言います。この菌は冬の間に地中の幼虫に寄生し、暖かくなると成長し地上に草の形状をした茸として姿を見せます。しかし、コウモリガの幼虫が地中のどこにいるのかは分からないので栽培はまず不可能であり、また採取できる場所もヒマラヤなどの一部地域に限定されています。市場に出回っている冬虫夏草はほとんどが偽物であるか、もしくは菌は同じでも違う虫に寄生したもの(薬効はほとんど期待できない)である可能性が高いです。一般的に、薬効のある冬虫夏草は100gで十〜二十万円が相場です。

(3)小柴胡湯
…この薬は免疫調節をし、体力を増強する働きがある良い薬です。しかし、ほとんどの漢方薬は弁証が必要であり、特に「〜〜湯」と言われる漢方薬は、弁証が前提となっている薬です。専門の漢方医の判断なしにみだりに使用すると、大変に危険です。(過去に日本で死者が出た例があります)。

(4)葛根湯
…この薬も後ろに「湯」が付く薬ですので、医師の調合によらなければ飲んではいけない薬です。しかしちょっと平塚駅の周りの薬局をのぞしてみたところ、そのような勝手に飲んではいけない漢方薬が棚にたくさん並んでいました。恐らく、危険の無いように内容を少なくしてると思いますが、それは同時に効果も弱いことを意味します。

(5)中将湯
…これも勝手に飲むと大変危険です。必ず漢方医の判断が必要です。

(6)メシマコブ
…メシマコブは中国では主に一時的に使用する薬として利用されており、食品として長期間にわたって服用した実例はきわめて少なく、長期服用による作用は明らかではありません。しかし、無毒であることが分かっており、基本的にどのような症状の場合に服用しても、問題は無いと推測されています。

(7)プルーン
…中国では一般的に生で食しますが、性質は「寒」であり、内臓を冷やす効果があります。肝臓によく腎臓にも良い効果ををあたえますが、しかし脾と胃が虚寒(力が無く内臓が冷えている)の人が食すと、症状が悪化します。よって、胃が弱っていたり脾臓がよくないひとは食べると危険です。

(8)カキエキス
…牡蛎は亜鉛と天然のホルモンを含んでおり、健康に良い食品です。

(9)クロレラ
…クロレラは植物の葉緑素を濃縮したもので、微量元素が大変豊富です。野菜不足を補うのに適しています。


(10)絹(シルク)の粉末に血液さらさらの効果があるそうですが、どうですか?
…中国では絹を食べる習慣はなく、食しているという例は初めて聞きました。絹は粘性が大変強いタンパク質であり、人体内で簡単に分解されることはまずありません。ですから食べても障害は無いと思われますが、吸収されることも無いので、体に対しての効果は全く期待できません。絹糸ではなく蚕の虫そのものは、古来より漢方薬のひとつとして利用されています。



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