仁易霊芝湘南有限会社
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〜霊芝と腎臓病〜

著:何永慶 (プロフィール)
〜はじめに

 腎臓病と言えば、台北の街角のあちこちに見られる人工透析センターが連想されます。台湾では毎年約二万三千人が人工透析を必要としており(台湾の総人口の一/一〇〇〇に相当)、更に千人以上が、人工透析の列に加わるを得ない事態に陥っています。二〇〇一年には腎臓病による死者が四〇五六人に達しています(台湾)。十万人当たりで言いますと、台湾では十五人、日本では六人、アメリカでは五人、シンガポールでは四人、ドイツでは三人、イギリスでは二人が腎臓病で死亡しており、比率では台湾が一位、日本が二位となっています。なぜこの両国が、不名誉な上位を占めることになったのでしょうか?これは、大いに注目すべき事だと思います。



1:腎臓の構造と生理的位置

 腎臓は腹腔の上部に位置し、腹部脊椎の両側、左右に1つづつあります。形はソラマメ状で、大きさは拳よりやや小さく、重さは約150グラムあります。1分あたりに流れ込む血液はおよそ一・二リットルで、百二十万本の輸入細動脈に分かれた後、更に毛細血管網を通過します。この人体の濾過システムを腎小体と呼び、腎臓ひとつに約120万個あります。腎小体は、おおまかに二つの部分(糸球体、尿細管)に分けることができます。

 糸球体とは、家庭の中の高圧濾過器の構造に似ています。血液は腎動脈に分かれた後、およそ百二十万本の輸入細動脈に入り、その後毛細血管網が形成する小さいボール状の糸球体に入ります。太い管から中程度の管、細い管へと移りますので、毛細血管の血圧は腎動脈の血圧の4倍に達しています。このため、毛細血管壁及びその下部にある基底膜が、一種の茶こし網のような働きをします。ここで血液の1/5が濾過されて尿細管に行き、網の上に残った赤血球や白血球、蛋白質などの大きな分子と、残る4/5の血液は、輸出球体細動脈を経て、毛細血管に戻り、近位尿細管などを経て、尿細管が排出した有用な物質を回収した後(選択的再吸収)、腎静脈に集まり、心臓へと向かいます。

 尿細管とは、必要な物質を回収すると同時に、イオンを交換する濾過器です。尿細管壁の細胞は、ブドウ糖やアミノ酸、水のほか、ナトリウムイオン、カリウムイオン、塩化イオンなどをポンプのように前から吸収し、後ろの毛細血管に送り出します。こうして有益な物質を再利用する一方、残った尿素などの汚物の一部分は少量の水とで尿となり、集合管に集まり、漏斗型の腎盂を経て、尿管に集まり、放出されるまで膀胱に貯められます。

 以上が血液を濾過する過程です。腎臓は毎日濾過しなければならない血液の量は約一八〇リットルです。人体の平均の血液は5リットルですので、つまり血液は毎日36回、濾過され、清潔にされなければならないのです。

 尿酸の濃度はおよそ一/一〇〇です。一〇〇CCの水分が尿細管に入っても、九十九%は再び吸収しなおされ、尿となるのはわずか一ccです。尿のうち九十五%〜九十七%は水分で、三〜五%はナトリウムイオン、カリウムイオン、塩素イオンなどのイオン、尿酸、クレアチニン、ウロビリンなどの廃棄物です。正常な人は、毎日約一〇〇〇〜二〇〇〇ccの尿を排出します。長期間、一日の排尿量が二五〇〇cc以上になる状態を多尿と呼び、この多尿の他、少尿、無尿もいずれも人体によって害があります。

 膀胱の尿量が四〇〇g〜五〇〇gに達すると脊髄が刺激され、大脳前頭葉にある高次皮質排尿領域に達し、尿意が発生します。排尿するかどうかは、大脳皮質排尿中枢が決定しますが、尿が700cc以上に達すると膀胱内の圧力が高まり、痛みを感じるようになります。膀胱炎、膀胱結石は頻尿を引き起こします。また脊髄の排尿反射中枢に障害があると、膀胱の尿量が多くなっても排出することができなくなります。また脊髄に損傷を受けると、高次皮質排尿領域と上位排尿中枢との連携が上手くいかず、排尿をコントロールできなくなり、尿失禁を引き起こします

 腎臓の最も重要な機能は血液をきれいにすることと排尿のふたつです。このほかに、腎臓と言えば、腎臓の機能が低下すると男性は立たなくなる(腎虚、敗腎)、というような男性機能に大きな関わりを持つことが知られていますが、しかしその他の機能についてはあまり知られていません。

 確かに腎機能の低下はは男性を不能にします。なぜなら、その時に毛細血管を充満させるのは、上部にある腎の水の蓄えと血の蓄えであるので、このふたつの液体が底を尽くと、当然下の陰部も水不足、血液不足となり、動力が足りず、ベッドに入っても大人しく眠るより他になくなってしまうのです。言い換えれば性機能の障害とは、腎機能に障害があるときに、まっさきに現れる徴候なのです。

 上記以外の腎臓の主な働きには、以下の八つがあります。
(1)副腎
 腎臓の上側にあり、丁度帽子を被ったような形をしています。さまざまなホルモンやアドレナリン、ノルアドレナリンなどを分泌し、腎臓が塩分、糖分を保持するよう指示を出し、血管の収縮や血圧の上昇を促すことで、人を攻撃的にしたり、逆に逃げ出すようにします。

(2)人体の水分(体液)の代謝
 抗利尿ホルモンの指示によって、尿細管細胞の「水門」を大きく開かせ、多くの水を吸収させることにより、尿の量を減らします。この指示が上手くゆかないと、水を吸収しすぎたのに水門が閉じてしまい、尿量を増加させてしまいます。これを尿崩症と言いますが、この症状では体内の水分過多によって心臓の負担が増すほか、細胞に余計な水分が侵入して細胞を膨張させ、正常な働きを阻害するほか、更に人体組織の内部に入り込むと浮腫を引き起こします。逆に水分が少なすぎると血液の粘度が上がり、心臓の血液不足や細胞の水分不足により、場合によっては大変危険な状態となります。

(3)代謝、ナトリウムとカリウムのバランスの維持
 副腎から分泌されるアルドステロンは、体内の塩分と水分を保持するよう命令を出すホルモンであり、尿細管にナトリウム(血液中に塩分として留まり、血管を収縮させます)を吸収させ、カリウムを排出させます。カリウムが少なすぎる場合には、ホルモンの分泌が停止されることにより、血液中のナトリウム、カリウムのバランスが保たれます。

(4)糖分の保持
 尿細管は糖分を最大で、一〇〇ミリリットル当たり一八〇ミリグラムを吸収することができますが、血糖が多すぎる場合には尿の中に糖分が残ってしまいます。これが糖尿です。

(5)酸とアルカリのバランスを取る
 腎臓の細胞は、サーカスの綱渡りに似ています。手に持つ棒の一端が酸、反対の端がアルカリです。人体の機能は、アルカリ濃度をPH7.35前後に保たなければ、上手く作用しません。酸性側に寄りすぎると、疲労や吐き気、意識不明の状態に陥ります。アルカリ側に寄りすぎると、頭痛や皮膚のけいれんなどのアルカリ中毒の症状を呈します。

(6)血液中の酸素、成分の調節
 尿細管にある赤血球の生成を促す細胞は、血液中の酸素を測定することが出来、不足している時には赤血球を増やし、貧血を改善します。

(7)血流、血圧の調節
 腎臓には血流と血圧の測定器があり、血流が減少し、血圧が低下しすぎる時には、血管を緊張させ血圧を上げる作用を持つ物質レニンを放出します。

(8)カルシウムの貯蓄
 腎臓はビタミンD3を活性ビタミンD3に変換することができますが、この活性ビタミンD3によって、カルシウムが体内に吸収されます。活性ビタミンD3が無ければ、カルシウムは吸収されず、結果として骨粗鬆症や骨折などを招きます。

 以上の八つの効能と、血液をきれいにし、尿を生成するという作用から、我々は毎日腎臓が、いかに多くの辛い仕事を行い、汚れ、疲れているかを知らなければなりません。だからこそ生活リズムや飲食、運動や薬の服用などにおいて、腎臓に負担を与えたり、傷つけたりすることが決してないようにしなければならないのです。



2:腎臓病の種類と根本的原因

 腎臓は毎日多くの排泄物を取り扱う為、ダメージを受けやすいです。代表的な腎臓の病としては、急性腎炎、慢性腎炎、急性腎孟炎、慢性腎孟炎、良性もしくは悪性の腎硬化、腎結核、水腎症、膿腎症、嚢胞腎、腎腫瘍、腎不全のほか、尿閉塞、尿毒症、尿失禁、血尿などがあります。
 腎臓の疾病にはいろいろな名称がありますが、しかし基本的な原因は、免疫の障害と、フリーラジカル(遊離基)による障害のふたつに集約できます。

A:免疫傷害
 血液を高い圧力で濾過しますと、ほとんどの巨大分子(免疫グロブリンA、有害な細菌、各種の混雑物)は、みな腎糸球の毛細血管の基底膜で濾過されます。このため、免疫細胞が体内の清掃を行うと、以下の三種の免疫反応が発生してしまいます。
(1)細菌内の毒素や、免疫グロブリンAなどが補体第三成分(C3)を活性化し、糸球体腎炎を引き起こします。
(2)免疫細胞であるマクロファージが、腎糸球細胞を傷つけ、腎炎を起こします。
(3)基底膜が損傷すると、抗体が敵がいると間違えてしまい、免疫細胞に攻撃するよう指示を出し、腎炎を引き起こします。

B:フリーラジカルによる傷害
 腎臓の血流量は、心臓が排出する量の1/4に相当します。腎臓内は酸素の供給が豊富であり、そのため活性酸素の発生も多く、その攻撃の対象になりやすいです。
 活性酸素の発生源には、以下のようなものがあります。
(1)腎臓内部のマクロファージが、あみに引っかかった異物を取り除く時、呼吸爆発を起こし、大量の活性酸素を生成し、腎糸球の「あみめ」に当たる細胞を傷つけます。
(2)IL(インターロイキン)1、IL6、TNF(腫瘍壊死因子)や免疫複合物が、腎糸球細胞を刺激すると、フリーラジカルが発生し、糸球を構成する毛細血管の細胞が損傷を受けます。
(3)腎糸球を構成する毛細血管が詰まりをおこすと、キサンチンオキシターゼがフリーラジカルを生成し、毛細血管の細胞を傷つけます。
(4)薬物に含まれる毒性の化学物質は、腎臓で代謝される時に多種のフリーラジカルを産出し、腎糸球、尿細管、毛細血管の細胞を傷つけます。

 以上のような種々の原因で腎臓の細胞が損傷を受けると、多くの症状が発生します。
(1)腎糸球内部の毛細血管の基底膜で、電位変化もしくは破損があると、アルブミンがあみから流出して蛋白尿が発生します。
(2)1と同じ原因で、赤血球が流出すると血尿が発生します。
(3)腎糸球の毛細血管が破壊されると、濾過することができなくなり、尿の過少、酷い場合は無尿となります。
(4)尿細管が破損されると、酸性度のバランスが崩れ、尿酸が血液中に流れ込み、痛風を引き起こします。
 腎臓病のうち、腎癌を除いて最も悲惨な症状は尿毒症です。尿毒症とは、腎機能が徐々に低下し、本来の5%の機能まで低下すると、血液中に蓄積された廃物によって中毒症状が発生します。これが尿毒症で、速やかな透析もしくは腎臓移植が必要となります。

 一九八八〜一九九五年の統計によれば、台湾で人工透析を受けている患者の1年生存率は九〇%、3年生存率は七十一%、5年だと五十八%、7年は四十八%となっており、アメリカにおけるガンの5年生存率(五十%)よりやや良い数値となっています。
 数値だけで楽観はできませんが、しかし悲観する必要は無く、人工透析を受け、飲食と生活のリズムに注意すれば、普通の人と同じように仕事をし、結婚して子どもをもうけることもできます。
 人工透析をはじめる基準は、概ね以下の通りです。

1:血液尿素窒素(BUN)の値が100以上、クレアチニン(Cr)の値が8以上
2:病人の体内の水分が過剰である。
3:高カリウム血症で、血漿中のカリウム濃度が7を越える。
4:重度の酸血症
5:心嚢膜が炎症を起こす、水が溜まる。
6:意識がもうろうとする、けいれんなどの神経系統の症状が見られる。
7:重度の吐き気、むかつき。
8:そのほか尿毒症に関連する症状。



3:台湾人はなぜ世界一腎臓が悪い国民になってしまったのか?

(1)台湾人は生活上のストレスが大きく、アドレナリン及び副腎皮質ホルモンが過度に分泌されてしまいます。このため高血圧や糖尿病などが引き起こされ、血管の収縮が起き、腎臓の負担となります。高血圧と糖尿病は、前者が腎臓病の原因の十五%、後者が一〇%であり、合計で1/4を占めています。

(2)台湾人は高脂肪、高タンパクの料理を好み、そういったおかずを毎日たくさん食べ、そのため高血圧、糖尿病を引き起こし、腎臓病を引き起こしています。

(3)台湾人は各国の生薬を服用するのも好み、何十種類もの薬を一緒に服用してしまします。とりわけ腎を助ける機能があると聞くと、我も我もと殺到します。また西洋薬には大変な副作用があると知っていますが、しかし中医薬にも多くの副作用があることを忘れています。一種類の生薬には百種類以上の化学成分が含まれています。例えば目下の研究では霊芝には400種類以上の成分があります。生薬を何種類も組み合わせたら、一体何種類の化学成分となるでしょうか?その組合せによる化学反応はどういうことになるでしょうか?誰にもわかりません。

 活性酸素こそが腎臓の細胞を傷つける最大の元凶であり、また薬物や化学物質が代謝される過程では、活性酸素以外にも、多くのフリーラジカルが必ず発生します。もし生薬を腎臓のために使うのなら、なるべく少ない組合せにするべきです。 日本人の生活習慣、飲食と仕事のストレスは、台湾と比べてどうでしょうか?



4:霊芝はどのように腎臓をサポートするのか?

(1)酸化傷害に対する作用:
 霊芝の最も主たる作用とは、抗酸化作用であり、フリーラジカルを消滅させます。一般的に、薬物あるいは化学物質というものは、肝臓、腎臓に対して毒性を持つと言われていますが、なぜ毒性を持つのでしょうか?そもそもその毒性とは何でしょうか?

 薬物あるいは化学物質は、代謝される過程で必然的にフリーラジカルを生成しますが、このフリーラジカルが肝臓及び腎臓の細胞を攻撃します。この攻撃こそが毒性の正体なのです。
 霊芝は多くの実験で、赤血球、血小板、心臓、肝臓及び筋肉の細胞を保護し、血を綺麗にし、心臓を強化する作用が確認されています。しかしこれだけですと、霊芝には抗酸化作用があり、フリーラジカルを除く作用はあっても、どうやって腎臓の細胞を守るのか、という疑問が出ると思います。上海医科大学で行われた実験は、血液、心臓、肝臓の実験のみであり、腎臓についての実験は行われていません。しかし血液や細胞の成分はいずれも似通っているので、他の実験を参考にすることができます。

 河南省衛生職工学院は、抗ガン薬のシスプラチンを用いてある実験を行いました。シスプラチンはDNAを破壊することで癌細胞を破壊しますが、同時にフリーラジカルを生成し、腎皮質細胞と細胞膜を傷つけ、malondialdehyde(MDA)を生成し、腎機能に傷害を与えるという毒性を持っています。実験では先に霊芝を服用させてからシスプラチンを注射したマウスと、霊芝を服用させずにシスプラチンを注射したマウスのについて、腎皮質内のMDAを測定したところ、後者に比べて前者のマウスでは、MDAの生成量が非常に少ないという結果がでました。また腎皮質組織内の抗酸化酵素(スーパーオキシドジムスターゼ。活性酸素を除去する)も、霊芝を服用したマウスの方が多く含まれていました。この結果は共に、霊芝の抗酸化作用及びフリーラジカルを除去する作用が、腎臓を保護することを示しています。

(2)免疫傷害に対するサポート
 霊芝の二番目の作用は、免疫の調節です。霊芝には免疫のバランスが崩れる事態を回避させ、有害な抗体を減らす作用があります。例えば、
1…免疫グロブリンAなどの免疫複合物を減らします。(免疫グロブリンAが腎糸球の網目に付着すると、腎糸球体毛細血管の基底膜がふさがり、血液を濾過する作用が妨げられます)
2…保護を受けた赤血球が免疫複合体に付着し、再び血流に戻ることにより、脾臓内部のマクロファージが免疫複合体を除去し、同時に補体第三成分を減少させます。(免疫細胞が免疫複合物を1〜2種飲み込むと、腎糸球腎炎が引き起こされます。また不適切な抗体が減少すると、抗体の基底膜への付着も減少します)

(3)免疫の調節に対するサポート
 霊芝は、単核細胞(マクロファージの前身)が体内をきれいにする機能を強めます。
 血液中の単核細胞は、既に脳や肺、肝臓、腎臓、脾臓、関節の滑液及びリンパ節の内部で守備をしているマクロファージと共に、全身の廃物を除去する一大システムを構築しています。もしこのシステムが強力であれば、体内の廃物はガン細胞と言わず免疫細胞と言わず、迅速に除去されます。また免疫複合物が腎臓の網目に付着して腎炎を引き起こすこともなく、腎臓が血液をきれいにする作用も助けます。
 霊芝が免疫を調整する作用には、もちろん人体の免疫を高める能力もあり、人工透析によって免疫が低下した患者の罹病率を下げることができます。

 このほか霊芝の三番目の作用として、ストレスをほぐす、鎮静と精神安定の作用があり、人工透析の患者のストレスをほぐし、安眠や食欲増進、生活の正常化に役立ちます。



五・中医から見た「腎」

 中医で言うところの「腎」は、西洋医学の生理解剖的な見地から見た「腎」とは異なります。
 中医では腎を「先天之本」とみなし、泌尿機能、生殖機能、代謝の調節及び内分泌のはたらきを腎の機能として包括して見ています。また中医学の考えでは、腎は骨を司り、髄を生じさせ、脳を通じさせます(西洋医学でいう大脳の機能と関係があります)。
 腎は精(精気)を蓄えます。つまり、人体の生長と発育、生殖の基本物質(男性の精液、女性の卵子、そのほか生長に必要な微量物質)を貯蓄します。
 腎は腎陰、腎陽に分けられます。腎精は腎陰の範囲に属し、腎気は腎陽に属します。つまり、「精」と「気」は対立すると同時に、統一されたものでもあるのです。
(訳者注:ここでの「陰陽」は、陰が「物質」、陽が「目に見えないエネルギー」を指しています。つまり血液、精液、体液などの目に見える物質で腎に属するものを「腎陰」、その「腎陰」を動かすエネルギー、西洋科学で言うところの熱量などで腎に属するものが「腎陽」となります)。

 腎精とは、腎気の現れでもあります。精が足りれば気が盛んとなり、気が盛んとなれば、骨や歯が丈夫になり、身体は健やかに、また髪が美しくなります。女性の場合、月経が安定した周期で来るようになり、排卵と受精が可能となります。
(訳者注:つまりエネルギーに満ちていれば、自然と精液や血液の質も良くなり、それらの質が良くなればまたエネルギーの補給もスムーズに行き、更に骨や歯も良くなる……という意味です)
 もし腎精が少なければ、気が衰え、気が衰えれば歯が抜け、頭髪が抜ける、もしくはごま塩頭になります。また容貌が衰え、生殖能力が低下するだけなく、骨がスカスカになり、女性の場合は月経が止まり、生殖能力が低下します。

 腎は生命の根本です。つまり全身の「陽気」の根本であり、「命門之火」(略して「命火」)とも言われます。
 腎は生命の原動力であり、各臓器、組織の機能や活動は、すべてこの命火によって暖められることを必要とします。例えば脾、胃で食物を消化し、栄養をゆきわたらせるには、常に命火の助けが必要です。
 五臓それぞれが持つ「陰気」に命火がなければ、滋養となることができません。また「陽気」に命火がなければ、機能することができなくなります。つまり命火こそが生命の根本であり、これがいわゆる「腎は先天の本なり」の意味なのです。

 正常な状況では、命火は一部だけ盛んであったり、弱かったりしなように保たれます。しかし臓腑に病変が現れると、命火が盛んとなりすぎます。これを「相火」と言い、人間の元気(がんき)を損ないます。
 命火が弱すぎる場合は「陽虚」を引き起こします。すると「五更排泄瀉」あるいは「腎が気を納めず」(呼吸があらくなる、すこし動くと息があがる)というような、惹起性機能衰退の症状が引き起こされ、インポテンツ、早漏、不妊などの症状があらわれます。
(訳者注:ここでの「陽気」「陰気」は、性格を表現するものではなく、「人体のオフェンス用エネルギー」「ディフェンス用エネルギー」を示します。そして腎の「気」こそが、すべての臓器の「気」を動かすスイッチとなります。このスイッチとしての作用を「命門之火」と呼びます。ゆえに、腎が駄目になると、真っ先に生命に関わる機能が駄目になり、そしてその人自身の生命も危うくなるのです。)

 中医では腎は水(体液)を司ると考えます。腎は全身の水の代謝機能をコントロールします。水が代謝される過程では、脾が栄養などの運搬と消化を行い、胃に津液を出させ、肺気が水の通り道を調整し、三焦が水液が運ばれる通路となります。膀胱は排泄すべき尿液を貯めますが、腎を通過させることで水液を調節し、体液のバランスを維持します。これらの主要な働きは腎の陽気によって保たれており、陽気が衰えると、気化が不足して、尿が少なくなる、水腫が発生する、小便が無色になる、尿失禁が起きるなどの症状が見られます。

 明代の医学者である李時珍は著書『本草綱目』で、「霊芝は苦平無毒(味は苦、熱でも寒でもなく、全くの無毒)、胸の中結を解き、心気を益し、肺気、肝気を補し、関節を良くし、筋骨を丈夫にし、智慧を益し、健忘症を防ぎ、また長期間服用すれば体が軽くなり年老いず、神仙の如く長寿となる」と記しています。原文ではわずか40字ほどの中に、霊芝が各種の疾病(腎臓病含む)を防ぐ基本作用が述べられいます。つまり霊芝は、疾病のカギとなる病因を取り除くことができると、述べられています。



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