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〜霊芝とリウマチ〜

著:何永慶 (プロフィール)
〜はじめに

 基本的にリウマチとは、全身の器官に波及する免疫の病気であり、器官の免疫傷害による疾病の一種です。臨床としての現れ方は非常に多種多様であり、治すのが難しい病のひとつです。本文ではリウマチと呼ばれる疾病のうち、慢性関節リウマチと全身性エリテマトーデスのふたつについて取り上げ、その病状の進行の防止と、予防の方法について述べることにより、皆様の参考になることを願っております。



1…西洋医学の分類によるリウマチの範囲

1:広範性結合組織の病変
   (1)全身性エリテマトーデス  (2)関節リウマチ  (3)強皮症  (4)多発筋炎・皮膚炎
   (5)血管炎  (6)皮脂欠乏症  (7)混合型結合組織病
2:脊椎炎(強直性脊椎炎、ライター症候群、乾癬関節炎)
3:退化性関節炎
4:感染性関節炎(細菌、ウイルス、カビ、寄生虫)
5:硬骨、軟骨、腱に関わる問題
      (骨粗鬆症、骨壊死、骨髄炎、軟骨炎)
6:軟組織に関わる症状:
      (筋細胞膜炎、背中の痛み、筋腱炎、滑膜炎)
7:新陳代謝に関わるリウマチ
     (1)痛風   (2)そのほか結晶性関節炎



2…西洋医学による治療

 西洋医学でこの種の疾病を治療する場合、まず患者の臨床的な病状に応じて病名が確定され、対症療法による下薬が投与されます。例えばRA(慢性関節リウマチ)の場合は、以下のような薬が用いられます。

(1)消炎、鎮痛作用を持つ薬(Antipyretics and Analgesics)
 …少量でも痛みを止めることができ、大量の場合は消炎作用を発揮します。しかし長期に使用しても病状を改善することはできず、逆に副作用が増やすので、長期の使用できません。

(2)ステロイド類(Hormone Preparations)
…RAに対して用いられます。症状の抑制に顕著な効果がありますが、@と同様に病状を改善することはできず、また長期に使用すると副作用が大きくなります。

(3)抗リウマチ薬(Antidimatic or anti-rheumatic drugs, DMARD)
…免疫反応を抑制し、症状を緩和します。しかし副作用として湿疹が出たり、骨髄の働きが抑制され腎臓が損なわれるなどの害があります。

(4)免疫抑制剤(Immunity modulator or immunomodulator)
…細胞の免疫を促進し、免疫系統を修正しますが、単独に用いた場合は効果は見られず、一般的には他の抗リウマチ薬と共に用います。副作用は多く、肺繊維症、肝臓の壊死の可能性があります。

(5)そのほか
…全身リンパ照射、血漿交換などがあります。主に重度のRAに用いられていると報告されていますが、効果は不確実で、医療費も高く、あまり用いられていません。

 西洋医学は、慢性関節リウマチをはじめとするリウマチを食い止めることは可能ですが、有効な治療法はまだなく、薬物で症状を抑制するか緩和することしかできません。治療の目的は関節の保持とその機能を一体にまとめることです。従って病気の進行度合いが異なれば治療法も異なります。治療の原則は、抗炎、止痛、症状の軽減、骨関節の破壊の防止、或いは軽減にあります。つまり、症状の進行を止めると同時に、関節の機能を最大限に保持させることにより、病人の生活を正常に保つことにあります。



3…中国医学による治療(弁証論治による治療)

 中医の見解では、リウマチはすべて「痺」の範疇に含まれる病と見なされ、伝統的な陰陽五行の理論と基礎に基づいた弁証論治により治療を行います。
 慢性関節リウマチ(RA)は、臨床の判断から概ね以下の四種に分けられます。

(1)湿熱型
湿熱(体内の水分が過剰で、体に熱がある)の場合は、熱を冷まし、水分を代謝し、血液を活性化し、経絡(気の通り道)を通す。一般的には宣痺湯に二妙散を加減して加える。この薬の配合と効果は、以下の通りである。防已、山梔、黄柏、連翹、赤小豆、滑石は、湿熱の代謝に効果がある。半夏、蚕砂、杏仁辛は、体内の汚れ(血液の汚れなど)を排泄させ、気をきれいにし、痺れを取り除く。牛膝、赤小豆は血を活性化する効果がある。ヨクイニンを加えると効果が高まる。

 熱毒(熱と毒がある状態)の場合は、熱を冷まし解毒し、血液を活性化し、経絡を通すので、四妙勇安湯を一般的に用いる。この薬の配合と効果は、以下の通りである。玄参、生地、銀花、生甘草、毛冬青、白花蛇舌草は、熱冷まし、解毒、消炎、止痛の効果がある。当帰、牛膝、赤芍は血液を活性化し、汚れを取り除く。??、?苡仁、老鸛草は、湿を取り除き、関節の痛みを止める効果がある。

(2)寒湿型
…体を温め、冷えを払い、痛みを止めて治療する。烏頭湯を用いる。烏頭湯の配合と効果は、以下の通り,麻黄は発汗を促し、皮膚を開き、冷えを解消することで麻痺を治療する。烏頭は冷えを取り、経絡を暖め痛みを止める。黄耆は衛気(外から侵入する病気を防ぐ)を増やし、芍薬は血の流れを整える。甘草は、さまざまな薬と共に蜂蜜で煎じると、血液と筋肉を改善し、痛みを止めます。また烏頭の持つ燥熱(水分を減らし、熱を持たせる)の効果を和らげる。関節が腫れて大きくなるのは、湿が多すぎる現れであり、この場合は五積散を用いる。オ血が滞っている場合は、桃仁、紅花、穿山甲を、大活絡丸に配合して服用する。(注:オ血の「オ」は、やまいだれに「於」)

(3)肝腎両虚型
…陰(腎臓、肺、肝臓など陰に属する臓腑、気など)に滋養を与え、腎臓の不足を補うことで、血液に滋養を与え、筋骨を丈夫にし、関節を改善する。六味地黄に四物湯を加える。六味地黄は陰に滋養を与え、腎臓の不足を補う。四物湯は血液を改善する。桑枝、伸筋草、チョ母草は風湿(リウマチの諸症状)を払い、関節を改善する。続断、枸杞を加えると腰を丈夫にし、膝を柔軟にすることができる。関節が赤く腫れている場合には、ヒカイ、ヨクイニン、地龍を加えると、湿を払い、痛みを止めることができる。(注:チョ母草のチョは、左が「豕」、右が「希」。ヒカイは、ヒがくさかんむりに「卑」、カイがくさかんむりに「解」。)

(4)腎陽(気)虚型
…陽(大腸、胃など陽に属する臓腑、血など)を暖め、気や血液を改善し、経絡の通りを良くする。桂附地黄湯を用いる。この薬の配合と効用は以下の通り。党參、黄耆、桂枝、附子は陽を暖め気を改善する。地黄、山萸肉,山芋は腎を改善し精気を益す。茯苓、沢瀉、丹皮は湿と邪(体内の害となる物質)を排出させる。寒(冷え)が酷い場合には、細辛、制川烏を加える。脾の力が弱まり、湿がひどい場合には、蒼白術、ヨクイニン、チ血藤、五加皮、獨活を分量を調節して加えれば、血が活性化し経絡が通る。陽の臓腑の力が弱まって長くなると、湿邪(害となる物質のうち、湿を引き起こすもの)が関節に流れ込み、痰が出るようになる。関節が変型している場合には、陽和湯を用いる。陽和湯とは鹿角膠,熟地を用いており、精気、血液に大量のエネルギーを与える。麻黄、炮生姜、肉桂は陽(の臓腑、経絡など)の通りを良くし、麻痺を改善する。炒白芥子は痰を取り除く。また紅花,桃仁、当帰、全虫を加えると、血液を活性化し、オ血や痰を取り除く。気血が共に不足している場合には、黄耆、当帰を加える。(注:チ血藤の「チ」は、左が「奚」、右が「隹」。オ血は2の注に同じ。)

 以上四種の症状に対する処方は、いずれも霊芝を加えることにより、更に効果を高めることができます。



4…霊芝とリウマチ

 リウマチの治療について、西洋医学、中国医学それぞれ長所を持っています。しかし詰まるところ西洋医学の治療では、多くの薬原病、医原病を免れることができず、治療後の回復は難しいと言えますが、ここに霊芝を用いれば、西洋薬の副作用を大幅に軽減し、良い作用を強めることができます。

 中国医学による治療の場合は、霊芝をただ加えるだけで、良い相乗効果がもたらされる上、処方の不適切な部分を修正することができます。

 医学界においても、リウマチの真の原因はまだ完全には把握されていませんが、しかし自己免疫の錯乱に直接あるいは間接的な関係があることは判明しています。霊芝は人体の免疫系統の調整を正常化することについて、著しい効果が見られます。京都大学食糧科学研究所(現・大学院農学研究科)文部技官の直井幸雄氏は、「霊芝はバカチョンカメラのようなものである。病理も薬理も知らなくとも、ただレンズをのぞいてボタンを押すように、ただ食べさえすれば、身体の各機能を最適の状態に調整してくれる」と述べています。

 さて、リウマチはさまざまな症状がありますが、その中で良く知られているのは、慢性関節リウマチ(RA)及び全身性エリテマトーデス(SLE)の二つです。
 全身性エリテマトーデスとは、複数系統の自己免疫に関わる病気で、特に若い女性に多く見られます。血清中に多種の自己免疫が出現し、免疫の錯乱が見られます。原因はまだ解明されていませんが、遺伝、環境、内分泌物、薬物、生理により出血するべき血液の逆流など、さまざまな要因が考えられています。

1:リウマチ発病のメカニズム
(1)サプレッサーT細胞の量の不足、機能の欠陥により、B細胞が抗体を過剰に形成する。
(2)抗血小板作用を持つ抗体が形成され、血小板の不足による紫斑病が引き起こされる。
(3)血液中の補体(C1、C2、C3など)が不足し、赤血球が免疫複合物を取り除くことが出来なくなり、免疫複合物が体内に堆積する。
(4)正常な人の赤血球には700個のレセプターがあり、これが免疫複合物と結合して免疫複合物を排出させるが、SLE患者の赤血球のレセプターは半分ほどしか無い。
(5)免疫複合物が堆積することにより、腎臓の糸球体が免疫細胞の攻撃を受け、腎臓が損傷する。
(6)免疫複合物が関節に堆積すると滑膜炎を引き起こす。血管壁だと血管壁の収縮を引き起こし血流を悪くする。また無菌性骨壊死症候群を引き起こす。

2:霊芝と自己免疫の疾病
 現在、全身性エリテマトーデスに対する霊芝の作用について、さまざまな報告がなされていますが、その中から二件紹介します。

(1)一九九九年四月二十二日の台湾連合報では、嘉義栄民総医院の頼寧生医師と台北大学医学院免疫研究所の共同研究の結果が発表されました。
 全身性エリテマトーデスのマウスに対し、何も特別に投与しなかった場合の生存期間が25〜26週であったのに対し、少量の霊芝を投与した場合(1日2回1回0.1ccの霊芝液)では36週、大量(1日2回1回0.2cc)では41週、ステロイドでは37週生存することが確認されました。
 また大量の霊芝はマウスの寿命を延ばすだけでなく、蛋白尿の発症を遅らせ、リンパ細胞が肝、腎、肺、気管支などに侵入するのを防ぎ、蛋白尿による腎臓の病変を軽減することが確認されました。

(2)大陸では、霊芝が全身性エリテマトーデス、皮膚炎、強皮症、筋力の低下、筋緊張性ジストロフィーなどに対し効果があることが報告されています。

1:ここ10年の霊芝研究の進展
 『中国医学科学院転用植物資源開発研究所100094西北雑誌』の第8巻第1期(1993年3月発行)では、霊芝の菌糸体と赤芝胞子粉を用いた注射液を、広汎性強皮症、皮膚炎、多発性筋炎、全身性エリテマトーデス、円型脱毛症、疥癬、進行性の筋栄養不良など、診断が難しい難病に対し、一定の効果が見られたことが発表されています。
 また現在、赤芝胞子粉の製剤による治療が筋緊張性ジストロフィーに効果があることが報告されています。

2:霊芝(赤芝胞子粉)の化学成分の研究報告
 赤芝胞子粉は霊芝《Ganoderma lucidum (Leyss.et Fr.) Karst》の放出する胞子体ですが、この胞子体は診療試験で多くの難病、例えば筋緊張性ジストロフィー、多発性硬化症に均しく効果を示しています。
 また赤芝の胞子粉から分離したコリンとベタインは、生理的な活性作用があり、特にベタインはグアニシノ酢酸と共に、筋ジストロフィーの治療に用いられています。
(『中国医学科学院転用植物資源開発研究所 北京植物学期1988.3091、60〜70』より)

3:霊芝が全身性エリテマトーデスに対して持つ改善作用
(1)サプレッサーT細胞を増加させる
(2)B細胞が抗体を形成するのを抑制する
(3)霊芝の持つ抗酸化作用がフリーラジカルを消滅させることにより、細胞や血液の受けるダメージを軽減する。
(4)赤血球の流動性、酸素の保持能力、変形能力を高めます。また血小板の凝縮作用を減らすことにより、血栓を防ぎます。
(5)マクロファージの能力を高め、同時に1L-12を産出し、TH1細胞(リンパ球の一種)が細胞性免疫の作用を持つようにしむけます。もし1L-12が不足すると、TH2は体液性免疫の作用を持ち、抗体が過剰に増え、この種の疾病を悪化させます。
(6)赤血球が免疫複合物を運ぶ能力を高めます。また脾臓を経由するマクロファージが免疫複合物を食べる量を増やし、免疫複合物の堆積を減らします。
(7)霊芝には腎臓を保護する作用があります。
(8)大量の霊芝は、免疫細胞に大量のサイトカインH-1、H-6、TNE及び副腎皮質ホルモンなどを生み出させます。これらの物質は視床下部〜下垂体〜副腎のルートを刺激し、自力でステロイドが産出するよう身体を促します。

 嘉義栄民総医院の頼安生医師の研究にれよば、大量の霊芝投与と大量のステロイド投与を比較した場合、霊芝の方がより高い効果が認められました。またステロイドは自己の体内で作られたものの方が、人工的に作られたものより当然良質であり、また自己体内で産出されたのステロイドには、副作用もありません。

4:全身性エリテマトーデスの症状に霊芝を用いる時の注意
(1)大量の霊芝子実体の抽出物は、抗アセチルコリン(AcCh)と同様の作用も持っています。まれに眼圧が上昇したり、口や舌の渇きが見られます。しかしこれは好転反応(瞑眩反応)の一種なので、このような場合には、一時的に少量に減らすようにしてください。
(2)どれぐらいの量を「大量」と見なすかは難しい問題です。経験者や霊芝による治療に詳しい医師に相談し、その指導の元に食用してください。



5…霊芝と、野菜及び果物の酵素及び乳酸菌

(1)霊芝は広く免疫系統に作用し、免疫系統を最適の状態に調節し、全身の機能を正常化する作用を持っています。しかもいかなる副作用もありません。
(2)野菜及び果物の酵素は、血液を浄化し、消化と代謝を促すほか、消炎、抗菌効果があります。、また体内の生物化学反応(酸化、還元、分解、合成、転化)の速度を早め、体内のアレルギー物質を除去する効果があります。
(3)乳酸菌は腸内菌のバランスを保つことにより、腸内に腐敗菌が発生するのを防ぎ、毒素の発生を抑えます。また各種の病気の原因となる要素を排除し、各種のアレルギー源を減らします。

 つまり各種のリウマチを治療もしくは予防する時に、霊芝と共に、野菜及び果物の酵素、乳酸菌を同時に食することは、非常に理想的な自然療法の方法と言うことができます。



6…おわりに

 多くの実験によって、霊芝子実体の抽出物と、霊芝胞子粉(細胞壁未破砕)の注射液は、リウマチに何らかの効果があることが報告されています。また赤芝胞子粉のアルコール抽出物をマウスの腹腔に注射すると、過剰な免疫効果を抑制し、リウマチの治療に有利となることが明らかとなっています。

 しかし資料や実験結果は、まだ十分とは言えません。そこでリウマチに罹患している方で、もし霊芝を食用される方は、症状が比較的穏やかな時期に、少量(1〜2粒)からはじめ、なるべく長期間食用するよう、お勧めします。もし大量の食用が必要な場合は、必ず医師の指導の元に食用してください。
 そのほか慢性関節リウマチや重度の筋ジストロフィーなど自己免疫の疾病の場合も、上記の原則を参考にしてください。

 李時珍の『本草綱目』には、「霊芝を久しく食すれば、身は軽く老いず、年を延ばし神仙たる」とあります。もし普段から毎日霊芝を数粒食べていれば、身体の各系統の機能が正常となり、多くの疾病(リウマチも含む)を避けることができます。

 これがもし病に罹ってしまい、多くの西洋薬の副作用に悩んだ末、霊芝のことを思いだして食用するのは、いわば泥棒に入られてから警備会社を依頼するのと同じと言えます。確かに例え後からでも対策を立てることは大事ですが、時既に遅しという事態もあり得るのです。
 黄帝内経には、「病になってから薬を求めるのは、喉が渇いてから井戸を掘り、戦争になってから武器を作るもので、いずれも遅すぎる」とあります。つまり霊芝は、病気になっていない人こそ、毎日食べるべき食品と言えるのです。


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