仁易霊芝湘南有限会社
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〜霊芝によるガン予防―ガンの過ちを正すには〜

著:何永慶 
〜目次〜

(1)前言
(2)内戦の惨劇」である抗ガン治療
(3)順治と逆治
(4)原因と現象を間違えてはいけない
(5)病機」を知るべし
(6)敵と友をはっきり見分ける(ガンは敵か、友か?)
(7)現代医学(西洋医学)のガン治療の利点、欠点
(8)ガン患者の八〇%は恐怖で死んでいる?
(9)霊芝と自然療法の用い方
(10)霊芝の実用方法とガンに対する薬理効果〜中国医学よりの見地
(11)霊芝の用法と用量
(12)霊芝を西洋薬と併用する
(13)まとめ

(1)前言

 世の中のすべての出来事に因果関係があります。ガンもまた例外ではありません。仏教家は「今この世での状況が前世の因果であり、来世がどのようなものか知りたければ、今行っていることを見れば良い」と言います。同様にどのような病気の発生や予防も(もちろんガンも含みます)、自然の因果関係から決して分離したものではないと、考えられます*@。何らかの病気にせよ事件にせよ、要因だけでは発生せず、要因が何かを引き起こす契機があってはじめて結果が生じます。したがって要因となるものを無くし、契機を退けてはじめて結果を防ぐことができるのであり、これが普遍的なものごとの理と言えます。ガン予防についても、ただガン腫瘤の発生を防ぐことだけに目を向けていて良いのでしょうか?ガン細胞が存在しているかどうかを判断基準とする治療法では、それこそ「ガンは無くなったが、人もなくなった」ということになってしまうかも知れません。
 中国の古典「三字経」には、「人の初め、性はもと善なり(人はその初めにおいて、本の性質は善である)」との言葉がありますが、同様に「癌の初め、性はもと善なり」と言うことが出来ます。体外体内の両方から、多種多様な悪影響が及ぼされると、人体の細胞は二つの選択肢を迫られます。そのまま死んでしまうか、それとも自力で自分を救うかです。つまり細胞は黙って死ぬのでなければ、自ら機能を改造し、自らの属する身体全体に向かって一揆を起こし、生き延びる道を求めようとします。人間が悪しき環境のもとでは、一揆や反乱という悪しき生き方で生き延びるしかないのと同じように、細胞もガン化することにより生き延びようとするのです。しかし、多くの人はガンとなる原因やきっかけが分からず、また分かったとしても原因を解消する方法がわからないので、結局は何とか自力で生き延びようとする細胞を「ガン細胞」として断罪し、環境の改善はそっちのけで、ひたすらガン細胞を皆殺しにするばかりです。
 政治の改善を行わず、暴動を鎮めようとする政府が、結局は民衆によって転覆されてしまうように、ガン細胞を皆殺しにしようとすると、人命はたやすく失われてしまいます。いずれも末梢と根本を見誤っているのです。
 旧ソ連の核エネルギーの専門家であるサハロフ博士は、「より多くの民主制によってのみ世界は平和となり得る」(The world can be made safe only by more democracy)と述べましたが、同様により身を清く心を正しく持ち、自省して人(細胞)を愛する―つまり、ひとつひとつの細胞や虐待されている細胞(=ガン細胞)をサポートすることのみが、ガンを良く防ぐ手段であるのです。



(2)「内戦の惨劇」である抗ガン治療

「抗ガン」という言葉には、ガンに一度なったら最後、非常に治しにくいか、もしくは不治であるとの考えが含まれています。しかし、昔の諺に「愚か者は友を敵とし、賢者は敵を友とする」との言があります。現在主流である医学(西洋医学)では、ガン(悪性腫瘍)はCancerと記します。Cancerの語源は、ギリシア神話の勇敢な英雄ヘラクレスの故事に由来します。ヘラクレスが頭が九個ある水蛇ヒュドラと戦った時、女神ヘラはヘラクレスの邪魔をするために密かに巨大蟹を送り込み、ヘラクレスの足を挟み込ませようとしましたが、蟹は逆にヘラクレスに踏み潰されました。ヘラは蟹を哀れんで天の星座としました。これが十二星座のひとつである蟹座(英語ではCancer。ギリシャ語ではKarkinos)と呼ばれています。二千四百年前、ギリシアの名医で西洋医学の父とも呼ばれているヒポクラテス(紀元前四六〇生―三七七没)は、乳ガンの進行する様子を外側よりスケッチしましたが、その皮膚に現れた様子が蟹の形に似ていたため、この種の病を「Karkinos」と命名しました。後に、この語がラテン語に翻訳されて「Cancer」となりました。
 ヒポクラテスは医学界に対し、治療には身体全体を見なければならないと戒めていましたが、しかし現在ではこの先人の知恵は全く生かされておらず、ガンの語源である「カニ」のニュアンスは、病理上で観察されるガン細胞の増殖が、カニのように「横行し、凶悪で、まとわりついて離れない」との意味に受け止められています。西洋医学の「ガン(Cancer)」の命名は、明らかに症状の目に見える現象からの命名に過ぎず、その原因やきっかけに由来するものではありません。しかし現在では変異した細胞を「悪魔」や「人類共通の敵」になぞらえたりするなど、ガン治療の方向性についても、ガンを殺すことしか考え無いのが現状です。
 一九七一年、アメリカのニクソン大統領はガンとの戦いを宣言しましたが、しかしこれこそが、人類にとって最も悲惨な「内戦」のはじまりとも言うべきものでした。このガンとの戦いにおける基本方針は「抗ガン」ですが、これはまさしく逆治の治療法です。したがって、科学技術の進歩にしたがってガン細胞への包囲は厳しく、殺戮の技術は発展し、より徹底的かつ非情な掃滅となりました。その結果、それこそ辛亥革命の時に「反乱分子」が清王朝の役人に処刑される際、「自分ひとりが殺されようとも、おのずから後に続く人は居る」と言ったのと同じことが起こっています。奴隷にように虐げられ、やむなく反乱を起こした細胞を、皆殺しという手段を使って押さえ込もうとし、その結果、罪の無い民までもを傷つける結果を招いているのです。その厳しさたるや、何億もの民を殺そうとも、たったひとつのガン細胞を捕らえるまでは許さない、というほどです。このような治療方針だから、多くの手術や化学治療、放射線治療を受け、ガン細胞が無くなったはずの患者も、往々にしてガンの再発と拡散という事態に見舞われてしまうのです。そうなってしまう理由は簡単です。歴史上の農民反乱が、いずれも政府の圧迫により、民衆が反乱せざるをえない状況から発生するのと同じことなのです。つまり、人体が細胞に対して、細胞が鍬や斧を持って暴政に立ち向かわざるを得ないようにしているのです。これは大変に悲しいことです。三国時代、魏(ぎ)の曹植(そうしょく)は兄の曹丕(そうひ)に迫害された時、豆が元々同じ根から生まれた豆殻によって煮られるという例えを使い、同じ親より生まれた兄によって迫害される悲しみを詩に歌いましたが*A、まさに人間がガンに対して行っていることも、同じ体から生まれたものを迫害していることと言えます。
 台湾では毎年「抗ガン」の為に三万人が犠牲となっています。しかも、ガン患者は年々増え続けており、台湾衛生署の統計によれば、一九九七年には一〇万人中一三四・一人、二〇〇一年には一〇万人中一四七・六八人の割合でガンになっています。今年(二〇〇三年)には、更に増えて一〇万人に二五二・八人となり、その伸び率は驚くべきものがあります。中国大陸においても、経済成長に比例してガン発生率も増えており、実に憂うるべき状況となっています。
 再びアメリカの「抗ガン」の結果を挙げますと、一九〇〇年には二十六人の内一人がガンで死亡していましたが、一九三〇年には一三人に一人、一九六〇年には更に増加して五人に一人、今年二〇〇三年には三人に一人がガンで死亡するという、どうしようもない事態になっています。
 この迷走するガン治療が、もし正しい方向に向かわず、プロパガンダや教育で「手術、化学治療、放射線治療」が正しい治療とされ続けたらどうなるでしょうか?我々人類の労力やエネルギーをガン治療に注ぎ込んだ結果、いったい何人の人がガンとの「内戦」の英霊となってしまうのでしょうか?



(3)順治と逆治

「中華自然療法」とは、中国医学と西洋の自然療法を結合させるという優れたアイデアの元に、陳紬藝中医師が創造した新しい医学です(中医師とは、中国伝統医学の医者のことを言います*B)。陳医師はこの医学に基づき「中華自然療法世界総会」を創設されましたが、この医学は、自然を理解し、尊び、保護し、用いるという、つまりは『順治』を尊ぶ学術思想より成り立っています。経営や管理には「向かうべき方向は速度よりも重要である」という名言がありますが、同じように医学についても「向かうべきと方向は医術よりも重要である」と言うことができます。また、中国の古典には、「治める対象が国であるか家であるか、それとも自分であるか他人であるか、また対象の大小や場所にかかわらず、自然の摂理に逆らって成功した者はなく、順う者のみが成功する」*Cという名言があります。また、次のような言葉もあります。「陰陽(昼と夜、暑さと寒さ、男女などすべての相対する事柄の象徴)と四季は、万物のおわりとはじまりの象徴であり、それそのものでもある。つまり死ぬか生きるかという問題の根幹に係わっている。この四季や陰陽のバランスに逆らえば災害が起こるし、順えば疾病などの災害は起こらない。これが道を得るということである。聖人は道を実行するが、愚か者はただあがめるだけである。陽は陰から生まれるが、この順序に逆らえば生命は死に、さまざまな調和が乱れるが、順えば生命は維持され、さまざまな調和も保たれる」*D
 しかし、今の世の中の人々は「人間は必ず自然や時間に勝つことが出来る」という自負心を持ち、科学文明という美名の元に経済や利潤を重んじ、あちこちで自然をねじ曲げ、破壊しています。自然が人間に日々の糧や起居の場所を与え、そして自然によってはぐくまれた言葉や智恵や思想によって、農業、漁業、畜産、工業などのあらゆる社会活動が発展したというのに、人間はまさに恩を仇で返すかのように、猛烈な勢いで戦争や政治的紛争を繰り返し、あたかも科学さえあれば何も不可能なことは無いかのような態度で、自然に逆らい、自然を破壊しています。しかも自然を破壊するものは日増しに多く、逆に自然を尊び、守ろうとする者は減っています。このままでは、まさに「天に順ずるものは栄え、天に逆らう者は滅びる」ということが起こりえるかもしれません。
 人体にある自然治癒力である疾病の徴候こそが、本当の医者―身体の状況を把握し、治癒しようとする者なのです。疾病の徴候とは、そもそも自然治癒力が病害を駆逐しようとする努力の現れであり、健康を回復する過程の知らせであるのです。医者はこの「自然治癒力」を友人と見なして助けなければなりません。これを敵と見なして抵抗力を攻撃したり、人体からのSOSメッセージを遮断したりすれば、軽い病気を重くしてしまい、重い病は致命的な病となってしまいます。自然療法は各種の自然の理論、方法、薬、食事などを用いて、この自然治癒力(=抵抗力)を助けて、病を外へと追い出します。
注:本文の順治・逆治についての考え方は、陳紬藝「世界四大医学の療法分析」(自然療法雑誌 一一七期 二〇〇一年五月一〇日出版)に依った。






(4)原因と現象を間違えてはいけない

 昨年刊行された『腫瘍の消滅』*E(著:南華大学教授 呂応鐘)において、呂教授は私に序文を一任されました。私は呂教授とは面識はないものの、この書を読んだ際、昔からの格言「智者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は恐れず」(智恵のある人は迷うことがなく、思いやりの心のある者は憂えることがなく、勇気のある者は恐れることがない)を思い出しました。しかし、今多くのガン患者は、多くは迷いや憂い、恐れの内に余生を無駄に過ごすという、悲しむべき状況にあります。私個人の意見を述べますと、確かにこの状況は残念なことではありますが、しかしそれはすべて我々人類が環境や生態系を破壊し、自然に反したことに原因があるのではないでしょうか?我々はガンをひたすら敵と見なしていますが、しかし自分達自身がそれこそ友人を敵に回したり、良家の子女までが街娼になるような環境を作り出したことについては、ほとんど反省していないように思われます。
 ガン細胞は酸素の供給が十分であると成長が遅れ、逆に二酸化炭素が多いと成長が早まります。つまり、虫が湧く前には、必ず先に物が腐るのと同じように、体質が悪化した後にはじめてガンは発生します。ノーベル賞を二度受賞したオットー・ワールブルグ博士は、次のように述べています。「ガンの発症には無数の原因があるが、細胞の正常な呼吸(好気呼吸)が、酸素を必要としない呼吸(嫌気呼吸)に取って代わられることが最も主要な原因である」。つまり、物が腐ってから虫が湧くように、まず体質が悪化してからガンが生じるのです。人体の各機能が正常で、体内が清潔に保たれていれば、どうしてガンが発生することがあるでしょうか?
 中国医学は数千年に亘る臨床経験によって、急激に悪化した病気(劇症)の場合は表に現れた症状から、慢性病の場合は根本の原因から治療し、どちらでもないか、もしくは症状も根本もみな劇症の場合は、症状と根本を同時に治療する、という法則を得ています。体内におけるガン細胞の増加は、中国の諺で「氷が三尺も凍るのは、一日の寒さにあらず」と言うのと同じで、慢性病に相当し、表に現れた症状は病の原因ではなく、病の結果であると言えます。つまり、体内と体外双方のさまざまな悪原因が体質を悪化させ、体内に老廃物や悪い物質が蓄積されてしまうことが、病気の根本であり、原因と言えるのです。当然治療では、血をきれいにし、老廃物やそこから発生する毒素を排出させ、血管などの硬化を無くし、身体に副作用の無い薬や食事(例としてはコンブやひきじなどの海藻類、白きくらげと黒きくらげ、及び高品質のプロポリス、霊芝、アガリクスなど)を食すことにより、「扶正祓邪(ふせいきょじゃ:身体にとって害となるものを排除し、免疫力などのプラス作用を補助する)」を行うことが肝要です。中国には、「ねじまがって育つヨモギも、まっすぐな麻の中に生えれば、ひとりでにまっすぐに成長する」という諺と、「治療せずにして治すのを善治(良い治療)と言う」という古典医学の格言があります。やむをえず現代医学の治療(切除、化学治療、放射線治療)を受けるとしても、呂教授のように迷わず、憂えず、恐れず、体内の環境を良くすれば、破滅に致る危機的な状況からは自然と遠ざかり、凶を吉に変えることができます。つまりは、警察官が悪漢を捕らえる時に、先に防弾チョッキを身につけ、ヘルメットを被るなどの防備を整えれば、任務を果たす際に殉職する危険を減らすことが出来るのと同じことなのです。



(5)「病機」を知るべし

 商売の場には「商機」(ビジネスチャンス)があり、戦争にもまた「兵機」(攻撃のチャンス)があります。同じように疾病にも、「病機」があります。では何故ガンには「ガン機」が無いのでしょうか?そもそも、「病機」とは何でしょうか?
 「中華自然療法」の観点から見れば、「機」は芸術の最高の領域を指す言葉であり、中国医学の古典の中では、黄帝内経で既に「機」について論じられています。「病を治すには、必ずその根本を求めよ」との一文がありますが、ここで「本」というのは「陰陽」のことであると書かれています。では「陰陽」は何かというと、「陰陽は天地の道なり。万物の綱紀にして、変化の父母、生殺の本始にして、神明の府なり」とあります。これを現在の言葉に直しますと、いわゆる「陰陽」とは例えるなら万能の存在、人体で言うなら「自然治癒力」であり、これこそが「病機」を支配するものです*F。簡単に言えば、体内の健康な部分及び回復力などの良い作用(正)と、悪い部分及び病状を悪化させる作用(邪)がどのように相互作用を及ぼしあい、変化しているかを示すものが「病機」であり、この変化を中国医学では「八綱弁証」という理論に帰納して把握します。ただ、元来の八綱弁証(患者の状態を陰陽、表裏、寒熱、虚実のカテゴリーで判断する)では、病状の変化の把握が不十分でしたので、陳紬藝医師は「邪正、内外、出入、昇降」を付け加え、千年来の不足を補いました(詳しくは、陳紬藝著『金元四大家医学新解』を参照してください)。つまり、病機とは触ったり見たりできるものではなく、天地人(=気候や時節、環境、人体)の間の相互関係や、身心性(身体、精神、体質)から判断される病気の原因や契機であり、言うなれば病気の判断のうち、頭の中で推理する部分であると言えます。


(前表は『自然療法』125期P5、陳紬藝著「儒・道両家の『道生一・一生二』より
中華自然療法医学の原理と方法の問題を見る」より引用)

 例えば、銀行強盗が悪事を働こうと考えた場合、準備は普通他人に見えないように、気付かれないように、何かのデータや検査にひっかからないようにして行います。もちろん、準備が終わる前に先走って押し入ったりもしません。強盗をする「機」(=チャンス)が訪れた時にはじめて犯罪が実行され、被害額や被害者総数などの数値データも現れます。押し入られた後に泥棒を捕まえたとしても、既に被害は発生してしまっているのです。現在、台湾ではロトが非常に流行っています。これは毎回発表される六組の数字を当てるというくじですが、まだ発表されていない時に、その数字を当ててこそ懸賞金をもらう「機」(チャンス)があるのであり、数字が発表されてから買っても全く手遅れなのです。今日、主流となっている医学は数値を調べることによって、非常に客観性かつ科学性のあるものとなっています。しかし病理検査というものはあくまでも現象に過ぎず、いくら科学検査の数値があると言っても、それは所詮は結果に過ぎず、結局は強盗に押し入られた後の被害、当選番号発表後のロトくじではないのでしょうか?
 現在主流の医学というものは、ガンの原因について非常に研究が進んでいます。例えばたばこに含まれるタールには三八〇〇種類の化学物質がありますが、目下既にその中の四十三種類が発ガン物質であることが分かっており、喫煙者が肺ガン、咽喉ガンもしくは口腔ガンに罹患する確率は、非喫煙者の二〇倍であり、間接喫煙の場合は一〇倍との数値が出ています。また、自然環境の悪化や生活習慣や食生活の乱れや、日増しに増える仕事のストレス、医原病*Gや薬原病*Hの危険など、「ガン機」の影はそこかしこに潜んでいます。もしも、主流の医学がガンを防ぐ方向に転換し、研究対象を病因、病機、病縁の方向に向ければ、症状の処理(放射線治療や切除など)は少なくなるか、あるいは用いなくても良くなるでしょう。中医では「急激に進行した病(急症)は、表に現れた病症を治療し、進行がゆるやかな病(緩症)は根本を治療し、症状も原因も急激に悪化している場合は、表の症状も原因も両方治療する」という原則があります。この方針は、ガン治療についても効果があると考えられます。例えば国家が犯罪に対処する際には、起こった犯罪をどうするかではなく、そもそも犯罪が起こらない為の措置(社会の環境や民事法の整備、教育の重視)に重点を置いて考えますが、中医の考え方はこの方針と相通じるものがあります。
 つまり、「病機」あるいは「ガン機」というものは、各種の発病の要因や発病のきっかけが及ぼす作用と、人体の自然治癒力の病への対応と言うことができます。



(6)敵と友をはっきり見分ける(ガンは敵か、友か?)
 
 ガンとは、一体敵なのでしょうか、それとも友なのでしょうか?
 WHO(世界保健機構)の統計によれば、毎年約六〇〇万人がガンと診断され、内四〇〇万人がガンで死亡しています。現代医学、特に医療設備が長足の進歩を遂げたにもかかわらず、残念ながらこの数値は年々上昇するばかりで、ガンは相変わらず誰もが顔色を変える難病のままです。
 このように全世界にガンの研究機関が林立し、研究や臨床に対しても膨大な財力と人材が投入されているにもかかわらず、ガンの発生は一向に減ることがありません。
 ではその原因はどこにあるのでしょうか?以下、いくつかの説を引用します。
@…西洋の自然療法医学は、疾病に対し通常の西洋医学とは違う見方を持っています。疾病を「人体が毒素を排除し体力を回復させるための措置」と見なし、疾病は敵ではなく友と考えます。これはいわゆる西洋医学が病を敵と見なすのと全く反対です。では、凶悪な殺人鬼よりも恐れられるガンについても、友と見なすことができるのでしょうか?国際自然医学会の会長である森下敬一博士の回答は以下の通りです。
「現在医学はガンを劣悪な細胞の集積と見なしているが、実際にはガンは身体の防衛反応の産物であり、人体の生存に有利に働く作用を持っている。ガンの本来の姿は『血液の汚れ』であり、もしガンが発生しなければ、人体は敗血症により三,四日の内に死亡する。つまりガンによって寿命が延ばされているのですが、現代医学はこの救いの女神を殺してしまうので、このような方法で健康を回復するのはまず不可能である。」(『癌はこれで治せるこれで防げる』二見書房 一九八〇年発行)

A…陳紬藝中医師は普段より、病の治療は「根本と原因を求めるべき」と主張しています。しかし現代医学の治療は疾病の現象を研究する病理学に基づいており、病因や病機(病となる契機)をみておらず、結果的に表層の治療にとどまり、ガンについても非常に治療が困難となっています。
 ガンが酸素の増加によって成長が遅くなることや、自然療法の「酸素の欠乏から病となる」「酸性化から病となる」*Iという考え方から判断しますと、ガンの治療にガン細胞を死滅させるような方法―手術や放射線照射、化学治療は、ガンの病因やガンとなるきっかけに対しては全く関係の無い、害の多い治療方法と言えます。
 明代の医学家である周慎斎は、「優れた中医は、痰を見ても痰を治療せず、熱を見ても熱を下げず、発汗が無くても汗をかかせることはせず、真の原因と治療法を見極めるものである」と言っています。今日のガン治療は、まさにこの「痰を見て痰を治す」と同じ「菌を見たら菌を死滅させ、ガンをみたらガンを殺す」治療です。

B…では、何をもってガンと言うべきでしょうか?台湾の■磊峰(ちらいほう)教授は、「ガンは一種の慢性、全身性、退化性、血液性、欠乏性の要素を持った中毒症である」と述べています。(『生物医学的神効』より)(注:■=左側が「希」、右側はおおざと」




(7)現代医学(西洋医学)のガン治療の利点、欠点

@… ガンが慢性の病であるということは、つまりは長年に亘って蓄積された病気であり、最初は人体に対して悪い物質がただ単に増加していただけのものが、ある時に体質の変化を引き起こし、体質の変化が更なる量の増加を呼び起こしたと言えます。ガンが即座に人命を奪う病ではないのは、この性質の為です。

A…全身性というのは、ガンの治療には全身の状況を視野に入れなければ根治は難しいということです。つまり、体質そのものを改善しない限り、いくら局部の病巣を取り除いても治療にはならない、と言えます。

B…退化性というのは、身体全体の内臓や組織の働きが退化した原因ときっかけを探らなければならない、ということです。中医の治療法(弁証論治)では、治療に飲食の調節や適度な運動、それに人生に対する気持ちの持ち方まで治療範囲に入れます。症状だけみて、悪化した部分だけ取り除いてはいけません。
C…血液性というのは、血液をきれいにし、造血機能を回復させる為の根本的措置を採らなければならないということです。逆に化学治療などで造血機能を破壊しては、全身の正常な細胞まで損なわれてしまいます。

D…そして欠乏性の中毒症ということは、その毒を取り除き、不足した分を補わなくては良い治療になりません。
 つまりガン治療には、まさに中国医学の「邪を払い正を扶ける」治療でなくてはならず、決して、毒を排出させるものの、身体の良い部分を傷つけるような治療であってはならないのです。

E…現代医学がガンをなかなか治療できない理由は三つあります。ひとつは、病理は判明しているものの、病気の原因がはっきりと把握できておらず、結果として表層的な治療となっていることです。まさに「雑草を焼き尽くすことができなければ、春になればまた生い茂る」という諺の示す状況です。二つ目には、ガン治療の方法が効果が無いばかりでなく、逆に新たなガンを形成する原因となり、更に病状を悪化させていることです。三つ目には、治療の目標が人体全体ではなく、ガンの病巣と数値にしかないことです。

F…したがって、ガンが恐るべき病であると言うよりも、人々がガンに対して誤った考え(ガンを滅ぼすべき敵と見なす)を持っていることこそが、実は恐るべき事態であるのです。例えば、もしもあなたの子供が人の言うことを聞かず、悪いことばかり覚えたとしても、あなたはすぐに白黒をつけ、子供を敵と見なし、警察に罰してもらおうとするでしょうか?
   また、現代文明が自然生態を破壊していることや、現代医学の治療方法も恐れなくてはなりません。つまりそれこそが悪しき生活習慣の源であり、また「善意」のアドバイスも、患者の心をかき乱す原因となっています。

G…つまり、ガンの治療は単一の方法(手術による切除、化学治療、放射線治療)では不可能であり、もっとも重要なことは、如何にして人体を傷つけることなく体内の毒素を排出させ、全身の機能(免疫力など)を回復させるかにあります。弱った身体を強くさせ、そして正常な状態に戻してこそ、根治と再発防止が可能です。どのような病気であっても必ず原因があり、また同時に発症の契機があり、原因と契機があって初めて結果が生まれるのです。原因を消し、契機を絶ってこそ、はじめて真の医道と言えるでしょう。

H…ガンは非常に重大な症状を引き起こし、慢性病であるのみならず、悪化すれば劇症の側面も持ちます。そして劇症を治療するという観点に立てば、私は決して手術や化学治療、放射線治療に全面的に反対する訳ではありません。しかし、中国医学と西洋医学では、症状の治療方法は大きく違います。中国医学でも、体に有害な側面を持つ薬を使用することがありますが、その毒性も自然のものであり、自然に分解されるものです。しかし西洋薬の毒性は化学薬品の毒性であり、自然な分解が困難で、しばしば薬源病(薬が原因で発生する病)の原因となります。
 また、中国医学で目に見えた症状を治す場合は、「毒を以て毒を制す」と言っても、必ず「毒で病を治す場合は、病の六割を取り除き、四割は残す」という方針に従い、極力体の正常な部分を傷つけないように配慮します。そうでなければ、病と一緒に生命まで取り除くはめになってしまいます。



(8)ガン患者の八〇%は恐怖で死んでいる?

 アメリカの心理学者マーティン・ガードナーは、アメリカではガンで死ぬ六三〇万人の内、その八〇%は恐怖によるショックで死んでいると報告しています*J。また、台湾の放射線科の名医である鐘昌宏医師も、「ガン患者の三分の一はショックにより、三分の一が治療により死亡しており、残る三分の一だけが病気で亡くなったと言える」と述べています。この両氏の発言は根拠のないことではなく、それどころか現在のガン治療の深刻な現状を反映しています。台北のある白血病患者の人は、自らのガン闘病日記で、「化学治療こそが恐るべき刺客であり、私の体の隅々を刺して回る。放射線治療は悪魔そのもので、私の体のあちこちの要塞を攻撃する」と書き記しています。また、同じく台北の音楽評論家も肺ガンにかかり、その後ガンが骨に転移した時に、「放射線治療を受けた時には、自分の骨が焼かれるような感覚がしました」と言っています。またリンパ癌にかかった退役軍人に会った時、彼は「私は軍人で、既に七十まで生きた。死は恐れないが、しかし苦痛はごめんだ」と言っていました。
 もしかしたら、もっと進んだ医療技術が開発され、全く害の無い「抗ガン」治療が可能になるかもしれません。しかし、例えば日本の昭和天皇が膵臓ガンから十二指腸の閉塞を併発した際に、非常に高技術を要する手術が施され、消化機能が正常になるような最善の処置されました。しかし一年も経たないうちに吐血があり、検査の結果、複数の腫瘍が発見されました。ガンの転移はなかったものの、大量の吐血の為に、合計して三万ccという、ほとんど全身の血液が入れ替わるほどの輸血が行われました。結局、考えられ得る限りの技術と、金に一切糸目を付けない治療が行われたにもかかわらず、治療は失敗に終わりました。またアメリカのケネディ大統領の夫人で、後に世界に名だたる大富豪である海運王オナシスと再婚したジャクリーン・ケネディは、リンパ癌に罹り、何度か化学治療を受けましたが、半年後に世を去りました。このように、国の最高の地位に居る者や世界一のお金持ちが、その財力を傾けて治療を受けようとも、「逆治」の方向に向かう治療を受けてしまえば、その行き着く先は何の治療も受けられない貧乏人と同じになってしまうのです。現在の医学では、ガン治療の後五年間生存していれば治療は成功したと見なしますが、しかし大半の患者は五年を維持することも困難であり、例え五年生き延びたとしても、その生活の質については、果たしてどのようなものであるのか、大きな疑問が残ります。
 実際、西洋医学の治療を受けているガン患者のほとんどは、だいたい同じような副作用に苦しめられます。口の中がただれる、歯茎から出血する、食道や胃の粘膜がただれ出血する、嘔吐感や食欲不振、毛髪が抜ける、爪が紫色に変色するなど、この地獄の刑罰のような苦しい治療というものは、非常に恐ろしいものではないでしょうか。私も恐ろしく感じています。アメリカで腫瘍科の医者に対し、「もしあなたの家族がガンに罹った場合、あなたが今行っているのと同じ治療を受けさせますか?」というアンケートを行った結果、半数が「受けさせない」と回答しています。つまり、ガン治療の技術は向上していても、依然として細胞を切り殺す手術や、焼き殺す放射線治療、毒殺する化学治療という「逆治」の状態にとどまっており、患者はガンになったショックか、もしくは治療の過程で薬原病や医原病で死んでしまい、結局のところ、恨みを残して世を去ってしまうことになりかねないのです。


●図一●
 自然治癒力を助けるには、自然治癒力を妨害したり危害を加えないようにしなければならない。
●図二●
 根本を直すのが善治(良い治療)である。
●図三●
 「標」(症状)を治し、「本」(原因)を直さないのは暴治(悪い治療)である。



(9)霊芝と自然療法の用い方

 台湾大学医学院病理科助教授で同大学主治医の李豊医師は、かつてリンパのガンに罹りましたが、自然療法で健康を回復することに成功しました。その後李医師は、「ガンを得たことはむしろ喜ぶに値することである。なぜならガンにならなければ、飲食を見直し、運動を始め、生活習慣を改善することも無かっただろうし、健康に日々つつがなく笑顔で暮らすことのありがたさも知ることが無かっただろう」と述べています。

 私は一昨年(二〇〇一年)の四月に日本に行き、胃ガン患者の藤川さんに会いました。藤川さんは私にすぐにでも中医の診断を求めましたが、私は二つの質問を藤川さんに向けました。「もしもあなたの子供が犯罪を犯して警察に逮捕されることがあったら、どうしますか?」彼は「子供をできるだけ守り、もう一度教育し、立ち直れるよう力を尽くします。」と答えました。私が「いいえ、警察に死刑にしてもらうべきでしょう」と返しますと、彼は驚き、「なぜですか?そもそも私の胃ガンと子供と、何の関係があるのでしょう?」。そこで私は、「中国人は、子供は父母の骨肉であるという考えを持っていますが、日本人はどうですか?」と聞きますと、彼は「もちろん日本人にとっても、子供は父母の骨肉です」と答えました。そこで私が「あなたの胃や細胞は、まさにあなたの骨肉そのものではないのですか?それを切除するということは、犯罪を犯した子供を警察に頼んで死刑にしてもらうのと同じことです」と言いますと、彼はしばらく考えたのち、私の考えを理解しました。

 もうひとつの問いは、「もし飼っている魚を長い間世話せず、気付いたら水は濁り、魚が死にかけていたとします。どうしたらいいですか?」というものです。藤川さんはすぐに「それは水を取り替えます」と答えたので、そこで私は「そんな簡単なことで私を台湾から呼んだのですか?」と答えて彼をまごつかせた後、「まずは水の成分を分析し、魚の血液も分析し、コンピューターで断面図を撮り、胃カメラも使い、必要とあらば化学治療に放射線治療も行うと良いでしょう。さて、私の方法とあなたの方法と、どちらがより魚を救うことができますか?」とたずねました。藤川さんは頷き、「おっしゃりたい事は良くわかりました。つまり、水を取り替えるに限るのですね。では、私は何を取り替えたら良いでしょう?」と質問しました。
 私がこの時藤川さんに、アドバイスした変えるべきポイントは、以下の四点です。

@「考え方を変える」。まずは、徹底して「ガンは敵である」という考えを変えなければなりません。自分自身の体の一部であるガン細胞が犯した過ちとは、言うなれば子供が自分に向かい「お父さんが良い環境を与えてくれないから、僕はとても苦しんでいるんだ。」と訴えているのと同じなのです。親は自らの過ちを認め、子供に向かって愛を与えるようにしなければなりません。そして孟母三遷の教えと同じように、子供(細胞)の暮らす悪い環境をすっかり変えることが、治療にとって何よりの助けとなります。
A「誤った食生活を変える」。玄米を食べ、肉は極力少なく、野菜を多く摂取し、「四低一高」(低塩、低脂肪、低蛋白、低糖、高繊維)を実行しなければなりません。
B「毎日の仕事のストレスを変える」。名誉や利益、権力といったものを求める為に生じる負担を捨て、また「もっと欲しい」「自分の考えを押し通したい」「何がなんでもこうしたい」「なまけたい」といったマイナスの感情、気持ちも捨てなければなりません。その上で毎日散歩し、音楽を聴き、歌を歌うなどにより、ストレスの解消を行います。
C「生活習慣を変える」。これは夜更かしを改め、早寝早起きをするということです。

 最後に、毎日朝昼晩と寝る前の空腹時に、六倍濃縮霊芝を五〜六グラム、天然花粉を六グラム食すようアドバイスし、その上で中医の処方を出しました。
 半年後、藤川さんは体調が回復するのを自覚するまでになりました。しかし家族と医者である友人が、よかれと思って手術を強く勧めたので、結局手術を受けました。結果は、わずかに腫瘍のような点があるだけでした。藤川さんは自分の体を傷つけたのは間違いだったと後悔しましたが、しかし私が「もし手術しなければ私達の正しさは証明できませんでした。それにあなたの少しの犠牲によって、多くの人が手術の苦しみを免れることができれば、その功徳は大きいものです」と言いますと、藤川さんは欣然と悟り、それからは仕事や生活を規則正しく送り、少しの霊芝と花粉を服用しながら、恙なく健康に暮らしています。
 他にも、私が長年お会いした方には、胃ガン以外にも肺ガン、乳ガン、リンパ癌、血液のガンが好転された方も居ますが、紙面の都合上例を挙げるのはここまでにします。



(10)霊芝の実用方法とガンに対する薬理効果〜中国医学よりの見地

 「扶正祓邪(ふせいきょじゃ)」―自らの自然治癒力(正)を助け、身体にとって悪い要因(邪)を払う―と同時に、ガン治療にとって重要なポイントは、ガンの治療にはガン専用の治療法も薬剤も存在しないことです。しかし中医のガン治療の方針は、中医の基本とする治療法と変わりはありません。つまり、弁証論治により症状を判断し、また扶正(免疫力などの体の自己回復力を高める)と祓邪(体内の老廃物など悪い物質を排除する)の両方を行います(例えば扶正で言うなら、気血の流れを良くし、腎臓や脾臓や肝臓などの機能を回復させるなどの治療を行います)。前国立中国医薬研究所所長の劉国柱博士は、「ここ十年の研究で霊芝の人工栽培に成功したが、科学分析の結果、霊芝は効用範囲が非常に広く、また効果も卓越していることが明らかとなった」と述べています。これは、中国古典医学において、霊芝は祓邪と扶正の双方の作用を持ち、他の中薬の持つ良い作用を、より多く持っているという記述に一致します(例えば赤ナツメの精神安定効果、高麗人参の強壮効果、杜仲の血圧を下げる効果、当帰の血液増加の効果などを持っています)。
 また、霊芝は中薬の調合の際、メインの薬剤に使うことも、補助として使うことも可能です。

 霊芝の用法と用量については、患者の体質によって異なります。免疫力の調整あるいは向上を目的とし、身体に特に問題が無い場合は、少量の霊芝で効果を発揮します。問題はガンなどの重病の場合です。ガンを例に取りますと、患者の体質はさまざまな機能に障害が出ており、蓄積された毒素も多く、とても少量の霊芝では「祓邪」を行うことはできません。中医ではまず祓邪が行われて、その後に扶正の効果があると考えています。しかし一般的な中医薬の場合、正確に体質や病状を判断しないと、体内の毒素を排出する際に、人体そのものを傷つける可能性があり、時には致命的な事態を招きます。しかし、霊芝は扶正と同時に祓邪を行い、しかも身体を傷つけることがないので、中国では古来より上品(最高のランク)の中医薬として位置づけられています。中国大陸におけるマウス実験では、上のような結果が出ています。
 また台湾で霊芝の栽培を行っている陳鏘鎌さん(ちん・そうれん 嘉義県在住)は、以前リンパのガンに罹り、一度手術を受けたものの、ほどなくして再発しました。陳さんは今度は毎日一キロの霊芝の切片を煮詰め、毎日食事ごとに煮だした水を飲みましたが、一ヶ月ほどでガンは治り、以来十数年再発していません。ここからも、霊芝の効果はその量に比例することがわかります。少量では少ない効果、大量に服用すれば大きな効果が得られます。よってガン患者の中に、霊芝を服用しても効果が見られない人がいますが、その最も大きな原因は量の不足にあります。燃料を満載した車が燃えている時に、コップ一杯の水ではどうすることも出来ないのです。



(11)霊芝の用法と用量

 それでは、霊芝はどれほどの量を、どれぐらいの期間服用すれば良いのでしょうか?高齢者(七〇歳以上)や病気がちで衰弱している人を除けば、一般的にはどの人も大量からはじめ、少量へと減らしてゆきます。まず大量服用を二〜四ヶ月維持した後、すこしずつ減らす方法が最も効果的です。なぜなら、人間の血液が新陳代謝され一回入れ替わるまでに、おおよそ九〇〜一二〇日必要だからです。この間に体内に大量の霊芝が服用されることにより有毒物質が排除され、免疫力が高まり、血液の質は大幅に改善されます。血液は栄養と酸素を運搬する、生命維持も最も重要な要素のひとつですから、血液が改善されれば、おおむねどのような病であっても根本的な解決につながります。効果が現れ、体質が改善された後に、少しずつ量を減らし、最終的には朝晩二回、一〜二粒(十八倍濃縮カプセル)を維持するようにすれば、健康維持に役立ちます。
 
 次ページの図はだいたいの目安です。参考にしてください。


※純霊芝100%高濃縮製品を用いた例です。
※霊芝を食用する期間は、各自の体質と食後における身体の変化に従い、随時加減してください。西洋薬と配合すると、西洋薬の補助にもなります。
※霊芝には血の凝固や血栓を溶かす効果がありますので、大量に出血した後や手術後には、しばらく食用を停止してください。また女性は生理の期間中は量を減らすかもしくは食用を一時停止してください。
※臓器移植を行った患者は、霊芝を食用してはいけません。霊芝は免疫力を高めるので臓器への拒絶反応が出る恐れがあります。




(12)霊芝を西洋薬と併用する

 西洋薬には多かれ少なかれおおむね副作用をもたらす要素が含まれており、肝臓、腎臓に負担と障害を与えます。しかし霊芝は肝臓と腎臓を強める働きがあるので、西洋薬の副作用を弱めるか、あるいは打ち消す作用があります。陽明大学生物科学研究所の李旭生教授は、霊芝の熱水抽出液を用い、抗ガン効果をもたらす西洋薬との併用実験を行いましたが、ガンに罹患したマウスの寿命が約三倍以上延長されたとの結果が出ています(八九年三月一一日「台湾時報」掲載)。
 台北文化大学の李興才教授は、結腸腺ガンで手術と同時に化学治療を受けた際、大量の霊芝と花粉を同時に服用しましたが、その結果一年に十二回の化学治療を受けたにもかかわらず、ほとんど副作用が発生しませんでした。このことからも、霊芝が副作用を無くすと同時に、薬効を衰えさせるものではないことがわかります。ここで特に強調したいのは、化学治療もしくは放射線治療の前に霊芝を服用するのが、最も効果的であると言えます。牧羊地の柵の穴から狼が忍び込み、羊を食べられてしまった後で柵を修理しても、確かに残った羊の安全は確保されます。しかし、食べられた分の羊は戻ってはこないのです。

注意事項:中国の古典である『書経』には「もし薬を飲んで瞑玄反応が無ければ、病気が治ることはない」とあります。霊芝を服用しはじめると、おおむね瞑眩反応が現れます。瞑眩反応とは「邪を引き外へ出す」現象であり、表に現れた悪い要素の為、一時的に病状が悪化しているように見える現象です。排毒反応と呼ばれることもあります。例えば高血圧の場合血圧がやや上がり、糖尿病の場合、血糖値がやや上昇します。肝臓病、肝臓ガンの場合は、皮膚に湿疹が現れたり、GOT、GPTの数値が上がる可能性があります。血液が酸性の場合は、やや疲労感を感じるなどします。しかし霊芝の食用後、もし何か気分が悪いなどの感覚がありましても、それを決して副作用と間違えてはいけません。逆に、体内の悪い物質を分解し、外に出そうとする反応であり、瞑眩反応の最も顕著に表れる例なのです。




(13)まとめ

 中国医学では病を治療する際に、その根本的な原因と、病気になったきっかけを探り、理論については、煩わしいものからなるべく簡単なものにするようにして、診断します。霊芝はまさにこの中医の精神にかなっており、どのような人のどのような疾病についても用いることができ、しかもメインの薬としても補助の薬としても使えるので、他の治療と併用すれば効果は倍増します。霊芝がガンに対して有効な理由はとても簡単です。霊芝は血液の粘度を大幅に下げ、造血作用を良くし、血液中の酸素量を一・五〜一〇倍にまで引き上げます*K。酸素は人体にとって最も重要な元素のひとつであり、酸素があってはじめて、細胞は生命維持のための化学反応を行えます。具体的に述べれば、細胞内のアデノシン三燐酸が、酸素を用いて栄養分をエネルギーに変換します。そして大部分の細菌やウイルス、カビや寄生虫や病原菌は嫌気性です。嫌気性とは、酸素が害となる生命体であるということで、これらの生命体は大量の酸素がある環境では生存することができません。これを中医の言葉で言い換えますと、「気が血行を帥し(気が血の流れを管理し)、正気が内を守れば(免疫力などの健康維持の為の力が体内をしっかりと守れば)、邪毒自ずから清めらる(悪いものは自然と清められる)」となります。つまり、大多数のガン細胞は正常な細胞に戻ることができるということです。当然、良い細胞をガンにさせたり、自らの体を滅ぼすようなこともありません。ガンの原因、ガンとなるプロセスが取り除かれれば、ガンが存在する余地はどこにあるでしょうか?
 もし医者と患者が徹底して自分たちの考え方を変え、誤った生活習慣と食事を改め、適度な運動を行い、その上で中華自然療法及び中医の弁証論治(もしくは順治の方法を採る自然療法)を用いれば、必ず敵を友とすることができ、ガンの治癒率もあがるはずです。例え患者の中に根治できなかった人が居るとしても、ガンと平和に共存することができ、穏やかな余生を送ることができるでしょう。「戦わずして人の兵を屈する」のが最高の兵法であるように、「治療せずして、人の疾病を癒す」のが、医学において最も高いレベルであるのです。
 結びにかえて、陳紬藝医師の、「ガンは死罪にされるような罪を犯しておらず、むしろ命を救おうとする功績をたてている」という言葉を、皆様へのメッセージとして挙げたいと思います。

以上





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《注釈》
*@このいかなる疾病も自然の因果律の支配下にあるという考え方は、中華自然療法の開発者である陳紬藝医師の考えに基づいている。
*Aこの詩は『七歩之詩』と呼ばれている。書き下し文と訳は以下の通り。なお、この詩は現在では曹植の作では無いと言われている。
「豆を煮るに豆殻を焼き、豆は釜中に在りて泣く。本これ同根より生まる、相煎ること何ぞはなはだ急なるや」(豆を煮るのに豆殻を使い、豆は鍋の中で泣いている。そもそも同じ根より生まれたのに、どうしてこのようにひどく煮ようとするのか)

*B 日本のいわゆる漢方は、江戸時代の鎖国のため、中国本土の伝統医学(中医)とは別個に発展を遂げており、厳密に言えば中医と漢方は異なった医学である。
*C『黄帝内経霊樞師伝編』より。原文は以下の通り。「夫治民與自治,治彼與治此,治大與治小,治國與治家,未有逆而能治也,夫惟順而已矣」
*D『素問 四気調神大論篇』より。原文は以下の通り。「故陰陽四時者,萬物之終始也,死生之本也。逆之則災害生,從之則苛疾不起,是為得道。道者,聖人行之,愚者佩之。從陰陽則生,逆之則死;從之則治,逆之則亂。」
*E台湾の自然風出版社より、二〇〇二年に発行。
*F「陰陽」とは、昼夜、男女、天地、死生、無と有など、「対立する事象」を意味する言葉であるが、「この世に存在するものと存在しないもの」の双方を表すことから「宇宙全体」も意味し、また「宇宙の摂理」を意味することもある。(大修館書店『大漢和辞典』を参照)
*G医師による投薬・手術などの医療行為が原因となって起こる病気。医原性疾患とも言う。
*H医原病のうち、特に薬が原因となって起こる病気を言う。
*Iこれは中医の「気化」「病毒」という用語とほぼ同じ概念である。
*Jアメリカ ヒューストン「美南新聞」2003.8.13 より。なお「美南新聞」は中国語名である。
*K上海市中医文献館発行『大衆』1994年三月号より


*参考資料:
自然療法雜誌 第一一二期『癌是最需要幇助的朋友不是敵人』……陳紬藝
癌症的治療與預防 九九〜一〇六頁……………………………………森下敬一
抗癌革命「與癌共生」 五〜六頁………………………………………近藤 誠
生物醫學的神效續編 二〇五〜二〇八頁………………………………?磊峰
醫學史與自然醫學 九七頁〜一二六頁…………………………………林佳谷
自然療法雜誌 第一二〇期 八頁………………………………………陳紬藝
自然療法與中國醫學 八〜一二頁………………………………………陳紬藝
醫食同源 一八四〜一八六頁……………………………………………劉滌昭譯
食物是最好的醫藥 二八〜三七頁………………………………………梁惠明譯
癌症的治療新趨勢…………………………………………………………張毅生
生機抗癌有一套……………………………………………………………范秀琴
防癌保健 三〜八頁(引發癌症的内外因素)…………………………林仁混
免疫革命……………………………………………………………………孫安迪
中醫腫瘤防治大全…………………………………………………………李家庚 屈松柏
靈芝…大自然的靈草 一一三頁…………………………………………今子今朝夫
我的腫瘤不見了……………………………………………………………呂應鐘
美國之父 ?彈艾瓦雷特…獨家秘傳配方 一四、一九頁……………蓋、羅伯 隆安得生
認識癌症 三〜五頁………………………………………………………陳光耀
防治皮膚癌有?歩(有妙方) 中央人壽保訊(第十五期焦點話題)……陳衍良

訳者注:著者が参考とした資料のうち、中国人以外の著となるものは、すべて中国語に翻訳された書籍もしくは資料を参考としています。上の一覧はすべて、著者が参考とした中国語版のタイトルにて掲載しています。

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