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〜胃腸の疾病と便秘〜

著:何永慶 (プロフィール)

<1> はじめに
主流医学の観点から
霊芝と西洋医薬をどのように併用するか
<2> 中国医学の観点から
便秘の原因
便秘の持つ危険性
(3)中国医学の観点から

 中国医学(中医)で言うところの「脾」「胃」とは、人体の消化器系統の作用すべてを指す用語であり、西洋医学のような機械的な命名による脾臓や胃という名称に相応されることは不可能です。中医では、脾と胃は「後天之本」(生まれた後に、健康を決定する一番重要な作用)であり、食物を体内で消化させ、消化した成分からエッセンスを取り出し、全身に巡らせる作用を強調しています。

 また、中医では消化器系全体の生理作用を、「脾昇胃降」と説明します。中医は陰陽五行によって内臓を象徴する理論を基礎として、人体の各臓器が互いにどのような作用と制御を及ぼしているかのメカニズムを把握します。人体のいずこかに失調が起これば、そこから病が発生します。中医は四診(望、聞、問、切)と八綱(陰陽、表裏、寒熱、虚実)によって、発症の起因(病因)と原因(病本)を推理し、発症し変化するメカニズム(病機)を把握し、その後に薬や治療法を決定します。これを中医の用語で「弁証論治」と言います。

 しかしいかなる治療や診断も、「扶正・祓邪」(免疫力などの正常な身体作用を助け、ウイルスや老廃物、強すぎる副作用などの悪い作用を排除する)の大原則を守り、常に変化する病状に合わせて運用します。この基本原則にのっとり、そこに霊芝を適切に用いれば、「君臣佐使」(霊芝にどのような役割を持たせて薬に配合するか)に関わらず、他の薬の作用を高め、鬼に金棒と言うべき結果をもたらすでしょう。
 つまり霊芝は、「扶正」と同時に「祓邪」を行い、なおかつ「正」(体の自己免疫力や自己回復力)を傷つけることが無いのです。

 中国医学の薬(日本で言う漢方薬とほぼ同じ)では、甘草が古来より薬の中の元老(すべての薬を調和させる一番良いもの)と讃えられてきましたが、霊芝はいわば苦味の薬の中の元老とも言うべき存在です。そうでなければ、李時珍が霊芝について「久食輕身不老、延年神仙」(長期間服用すれば、気の巡りが良くなり身は軽く、老いのスピードが遅くなり、寿命が仙人のように延びる)」と書くことはなかったでしょう。

 中国医学が成立した時代には、細菌など微生物に関する情報はまだ発見されていませんので、当然中国医学が胃腸を治療する際に用いる理論や方法、処方箋や食事にも、直接細菌や微生物を殺すような方法はありません。しかし患者が正確な弁証論治と治療をきちんと受け、また良質の材料を用い、的確な処方箋と技術により調合された中医薬を適切に服用すれば、病を取り除くことは可能です。この点は、医学界や社会全体において、考えるべき価値があることだと思います。



(4)便秘の原因

(1)生活習慣:便秘の原因は多種多様に及びますが、その中でも、排便の習慣の悪さは、最も良く見られる原因です。排便の習慣が一定で無いため、大便がどんどん蓄積されて堅くなり、自然と便秘が引き起こされます。また良くない食生活(食事が豪華に過ぎる、水、果物、野菜が少なすぎる、肉が多すぎる)も便秘を引き起こします。

(2)薬物:薬物の中には便秘を引き起こすものもあります。利尿剤、制酸薬(胃酸を中和する薬。いわゆる胃薬)、カルシウム拮抗剤、カルシウム剤、痛み止めなどを過度に使用すると、便秘が引き起こされます。

(3)運動不足:運動不足の人や寝たきりの病人は、腸管の蠕動が弱まり、便秘になりやすくなります。

(4)生活習慣の変化:妊娠、イライラ、ストレス、生活リズムの乱れ、夜更かしは、自律神経失調を引き起こし、胃腸の蠕動を弱め、便秘の原因となります。

(5)下剤の濫用:下剤の濫用は腸の神経叢を損ない、腸管の蠕動に影響を与え、深刻な便秘を引き起こします。

(6)大腸の憩室、大腸ガンも便秘を引き起こします。



(5)便秘の持つ危険性とは

(1)心臓の血管や脳血管の疾病を誘発します。大便に含まれる有害物質は血圧を高めますが、排便時にりきむことで腹圧も高まり、狭心症、心筋梗塞、脳出血、中風、突然死などを引き起こします。
(2)肝、胆、胃、腸の機能をかく乱します。また肝臓病、胆石症を引き起こします。
(3)腸閉塞、宿便潰瘍、腸穿孔、大腸憩室を引き起こします。
(4)長期の便秘はアルツハイマーやパーキンソン病を誘発します。
(5)肛門や腸の疾患を引き起こします。便秘時には排便が困難となり、大便が乾燥します。このことは痔、肛門裂症状(切れ痔)、直腸炎など、肛門と直腸の疾患の直接的な原因となります。
(6)悪性腫瘍を誘発します。重度の便秘である人の10%は結腸癌を、一週間の排便が二回以下の人の25%は、乳腺癌を発症しています。
(7)生理痛や膣のけいれん、尿閉塞、尿路感染症などの婦人病に掛かりやすくなります。
(8)排便時、長時間にわたって力みつづけると、直腸を疲労させ、肛門が過度に収縮したり、骨盤の下部が痙攣性の収縮を起こす原因となり、生活に障害を及ぼします。

 もし単に排便の時間の間隔が延びただけで、排便後のすっきり感があるようでしたら、便秘ではありません。しかし、排便の間隔が延び、同時に大便の乾燥、排便の困難、排便後にまだ出きっていない感じがあるようなら、まさしく便秘です。

 特に女性の場合、便秘の害を決して甘く見てはいけません。
(1)美容への影響
 便秘は大病とは考えられていませんが、しかしその害は決して無視できるものではありません。まず女性が便秘をすると美容に影響を及ぼします。便秘は女性の体内の毒素を増やし、新陳代謝をかく乱することで、内分泌の失調及び微量元素のバランスを崩します。その結果、皮膚組織の沈着、皮膚のかゆみ、肌つやが失われる、毛髪が痩せる、シミやニキビが出来るなどの症状が引き起こされます。

(2)生殖器に関する疾病
◆便秘は軽度の毒血症を引き起こします。症状としては食欲の減退、精神活動の萎縮、めまい、脱力感があり、長期に続くと貧血や栄養不良も引き起こします。
◆排便に常に力が入るので、痔を引き起こします。
◆女性の便秘は乳房組織細胞の発育異常を引き起こす可能性があり、乳ガンの可能性も増大します。毎日排便がある女性の乳ガン罹患率が5%であるのに対し、一週間の排便が2回以下の女性の場合は25%に達しています。
◆このほか、国外の最新研究によれば、出産可能年齢時の便秘は、出産のチャンスを奪います。大便の中には一種の特殊な化学物質があり、これが排卵を妨害し不妊症を引き起こします。妊婦が便秘した場合には、奇形児の出産や流産の可能性があります。

 便秘は男性よりも女性に多い症状です。女性は男性より運動量が少なく、また美食の傾向があります。また女性固有の生理機能も原因となりやすく、男性に較べ便秘になりやすいと言えます。資料によれば、ここ三ヶ月の間に便秘を発症したことのある成人は、成人人口の1/4に達しており、女性の発症率は男性の約二倍となっています。しかも、女性の便秘の発病率は徐々に上がる傾向にあります。

 女性の便秘が男性に較べて多い理由は、主に三つの原因が考えられます。
(1)生理解剖学的な違い:女性の場合、子宮が骨盤の窪みにあるため、直腸は男性よりもより強く湾曲しています。このため大便が通過するのに男性よりも時間がかかり、便秘になる可能性が男性より高くなっています。
(2)妊娠期の胎児への影響:妊娠すると胎児の成長にともない、直腸が圧迫され、直腸及び肛門の静脈の血液が流れにくくなります。また妊娠期は骨盤に付随する筋肉がゆるむため、便秘や痔の発症率が高まります。
(3)女性の生殖器の特徴:女性は肛門の前方に膣口(陰門)があり、その周囲の筋肉が弱く、また女性の生理的な特殊性も原因となり、便秘が引き起こされやすくなっています。

 便秘を予防する方法は、多くの専門家によって研究され、提言されています。ここではそれをまとめて紹介します。
 便秘になってしまったからと言って、すぐに排毒や腸洗浄の薬を用いてはなりません。これらの薬は即効性はありますが、しかし薬に対する依存性を生み出すので、使用をやめるとすぐに便秘に戻ってしまいます。また長期間に渉って下剤を服用してもいけません。この種の薬を長期間服用すると、胃腸の機能がかく乱され、胃腸のさまざまな疾病を引き起こします。また長期間に渉って下痢の状態であると、直腸が狭くなり、下剤に頼らないと排便できないがんこな便秘を引き起こします。この種のひどい便秘は痔、切れ痔を引き起こします。
 便秘の発生を防ぐには、女性は常に生活のリズムを整え、排便には十分時間をかけ、適度な運動を心がけることが必要です。食事は適切な量と時間を守り、脂肪分を減らし、新鮮な野菜や果物など繊維質を多く含む食品を多く摂ることが大切です。また毎晩寝る前の10〜15分前に腸のあたりを揉んで刺激し、毎朝起きてからぬるま湯もしくは薄い塩水を飲むと、腸の蠕動運動を促進し、排便を助けます。常に便秘になる女性の場合は、医者の指導のもとに腸を改善する薬を服用してください。



(6)どのように便秘を改善するか

 現代人は、飲食やストレスから便秘になる人が非常に増えています。それでは、便秘の改善にはどのような方法があるでしょうか?
(1)毎日決まった時間に排便する習慣をつけるようにします。決まった時間に排便するように腸を適応させると、その時間が来ると胃腸が蠕動し、自然と排便できるようになります。
(2)毎日一定量の野菜と果物を取り、繊維の摂取量を増やす。
(3)酵素を補充し、腸内の有益菌を増やす(酵素やヨーグルトなどを食す)。
(4)便意がある時には絶対に我慢しない。大便が大腸の中に長時間滞留すると、便の水分が吸収されてしまい、更に便が出にくくなります。
(5)水分を一日最低でも二五〇〇CC補給します。十分な水分は胃腸の蠕動を助け、大便が堅くなるのを防ぎます。
(6)腹部の運動や、腸のマッサージは、腸の蠕動を増やし、排便を助けます。
(7)重度の便秘となった場合は、医師の助言を受けることが望ましいです。
(8)適度の霊芝は、便秘だけでなく、体質全体を改善することができます。



(7)まとめ

 各種の胃腸の病を予防及び治療する上で、もし霊芝を適切に用い、なおかつ良い生活リズムと精神的な安定(ストレスの軽減など)を保つことが出来れば、消化不良から胃腸のガンに至るまで、さまざまな疾病に高い効果をあげることが可能です。大切なのは、あなたが以上の中国医学、自然医学の考え方を受け入れ、取り入れられるかどうかです。
 以上につきましては、筆者の浅学のため至らない部分もあるかと思います。多くの皆様のご鞭撻を心より願っております。


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注1:章建『胃病 中西医双効自療手冊』
注2:陳増與『幽門螺旋桿菌』
注3:羅彦傑『発現腸胃潰瘍病因』
注4:林佳谷『黒白臉的巴斯コ』
注5〜8:Michael A.Schmidt(訳 ?ト瑜)『破解抗生素迷思』
注9、10:ョ敏男『神医啓示録』
注11:金子今朝夫『霊芝』
※注の書名は原文(中国語)にて記載しています

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