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〜胃腸の疾病と便秘〜

著:何永慶 (プロフィール)

<1> はじめに
主流医学の観点から
霊芝と西洋医薬をどのように併用するか
<2> 中国医学の観点から
便秘の原因
便秘の持つ危険性
●はじめに

 人にとっての幸福とは、健康であることです。しかし時には、天から降ってきたかのように突然病になったりします。また「民は食を以て天と為す」と言いますが、その口から入る食によってもしばしば病となります。このふたつの考え方は共に、洋の東西を問わず、昔から両立併存するものとして伝えられてきました。つまり消化器系の各種の疾病は、消化不良から胃ガンに至るまで、多かれ少なかれ生活リズムと関係があると言うことです。食べる、飲む、大便と小便の排泄、睡眠をどのようにとるかが、病気予防の一番の課題となります。では、もし不幸にして胃腸の病になったら、どのような治療を受け、また霊芝などの健康食品をどのように用いれば良いでしょうか?今の治療の全体を見るに、治癒率を上げるにせよ下げてしまうにせよ、医原病や薬原病を避けることは非常に困難であると言えます。


(1)…主流医学(西洋医学)の観点から

(1)消化器系とは
 消化器系統とは、主流医学(西洋医学)の生理的分類による命名です。この系統は口腔から食道、胃、小腸(十二指腸、空腸、回腸)、大腸(盲腸、結腸、直腸)から肛門まで含む管状の構造で、全長は約九メートルの長さがあります。これらの構造は唾液腺、膵臓、肝臓などの器官の協力のもと、食物の消化と栄養の吸収、老廃物の排泄を担当しています。

(2)胃腸の疾病
 「胃腸の病」という言葉は、非常におおざっぱな概念です。西洋医学では基本的に、臓器の生理的な位置と病理現象によって病名を命名します。例えば胃炎、胃潰瘍、ポリープ、胃下垂、胃ガン、腸炎、十二指腸潰瘍、大腸ガンなどが当てはまります。また臨床的な症状からの見地では、胃の膨張、おくび、痛み、胃酸の逆流、灼熱感、むかつき、はきけ、黒い便、便秘や下痢と診断されます。

(3)流行病学
 統計によれば、中国では5%の人が胃炎に、10〜20%の人が消化性潰瘍を発病しています。また毎年胃ガンを発病する人数は20万人にも達し、ここからも胃の病気が非常によく見られる病であり、中国のほとんどすべての家庭に見られるようになっています。その上ほとんど場合は長期間の治療にも関わらず好転が見られず、「痛みのために、ベッドの上で精神力と体力をすり減らし、医者と薬を求めるため、薬罐の中で財産を消耗する」(註1)状況にしばしば陥っています。

 一九八二年、オーストラリアのロビン・ウォーレン博士、バリー・マーシャル博士は共同研究を行い、慢性胃炎(active chronic gastritis)の胃の粘膜、または消化性潰瘍の胃に、細菌がいることを発見しました。それがピロリ菌(Helicobacter Pylori、略称HP)です。当初、多くの消化器系の医師がこの結果に懐疑的でしたが、マーシャル博士がピロリ細菌を自ら服用して実験し、ピロリ菌が消化性潰瘍を引き起こすのであり、消化性潰瘍の結果ピロリ菌が発生するのではないことを実証すると、一九八七年以降には、西洋医学界はピロリ菌が胃潰瘍の主要な原因であるという見解で一致を見るようになりました。胃潰瘍患者の58〜94%はこのピロリ菌に感染しています。また一般的に、欧米では五十代前後の人の約50%、台湾では30〜40代の人の53.2%、発展途上国では、10歳前後の児童の80〜90%が感染しています(註2)。
 二〇〇五年一〇月三日、ウォーレン博士とマーシャル博士は共同でノーベル賞を受賞し、かくして「ストレスが胃潰瘍の腫瘍な原因である」という意見は、大きな権威によりひっくり返されました。

(4)治療
 ピロリ菌の治療には、抗生物質による除去が適当であるとされています。目下は十種類以上の抗生物質が使用されていますが、特にビスマス、プロトンポンプ阻害剤が多く使用され、二週間ほどの治療で80%以上の効果が認められています。また再感染も2〜5%と非常に低いです。また臨床結果により、一度ピロリ菌を死滅させた後の再感染率は2〜5%と、非常に少ないことが分かっています。
 ただし医学の世界は、治療中あるいは治療後に発生する副作用の説明や、副作用を防止する方法については、ほとんど論じられていません。

(5)まとめ
 以上に見られる高い治療効果はもちろん歓迎されることですが、しかし改善するべき点も多くあります。
 19世紀のフランスの科学者パスツールは、1965年蚕の病気の研究から、病気の原因となる微生物とその予防法を発見したことでも有名ですが、彼はさまざまな研究の結果から、微生物病原説を発表し、それまでの疾病自然発生説(先にものが腐り後から虫が湧く)を否定しました。この時から西洋医学ではこの微生物原因説、つまり「先に虫がいて後に腐る」が唯一の真理とみなされ、伝統的な医学であった「体液病理学」は否定されるようになりました。つまり疾病の治療では、まず疾病の原因となる細菌あるいは微生物を探し出し、その後強烈な方法でそれらの原因を消滅させるべきだという考え方が生まれたのです。しかしパスツールは臨終の際に、「ベルナールの理論こそ正しかった。微生物(ウイルス)ではなく、宿主の体内の環境との関係こそが重要だったのだ」(Claude Bernard was right-The microbe is nothing, the terrain is everything)と述べています(註4)。

 B・ディクソンは著書『近代医学の壁 魔弾の効用を超えて』(奥地幹雄・西俣総平訳 岩波現代新書 原題「Beyond the Magic Billet」)で、今日の衛生学の基礎を作ったペッテンコーファー博士の逸話を紹介しています。1900年頃、バイエルンのペッテンコーファー博士は74歳の時、数百万に培養したコレラ菌を服用しました。この菌が、致命的なこれらの症状とは分けて考えるべきものであることを示すためです。ほとんど同時期に、ロシアの病理学者のイリヤ・メチニコフも同様にこの奇怪な実験を試み、彼の同僚も彼に倣いました。結果、数名が軽い下痢を引き起こしました。また全員の糞便から大量のコレラ菌が発見されましたが、誰もコレラの症状を発症しませんでした。

 メチニコフは白血球の発見者として知られていますが、白血球とは体内に侵入した病原菌を捕食し、消滅させる細胞です。メチニコフの生涯の実験と著作のほとんどは、身体が感染に抵抗する時の自己回復力についてであり、彼は感染病の正しい対処法は、化学薬品で掃滅することではなく、身体の抵抗力を増加させることだと考えていました(註5)。これは、中国医学で言うところの「正気、内に存せば、邪干すべからず」と全く同じ意味です。

 しかし、現在あまりにも多くの人が、感染により様々な疾病に罹っています。この現象を中国医学の言葉で言うと、「邪の奏する所、其の気、必ず虚なり」(邪が集まる所では、気が必ず不足する)となります。言い換えれば、病気の要因の力が身体の抵抗力よりも大きければ、「まさに衆寡敵せず」で病気になってしまうということです。

 実際、「先に腐り、後に虫がわく」「先に虫があり、後に腐る」のどちらにも一理があります。言い換えればこの両者は互いに因果関係にあります。それをどちらが先かと議論するのは、言うなれば「卵が先か、鶏が先か」と同じ問題で、実際にはこの両者の関係は常に変化すると言えます。
 大切なのは、いかにして体全体に対し「正を扶け邪を祓う」(免疫力などの良い作用を助け、病原菌や体内から排出されるべき老廃物を取り除く)を行うかであり、どちらかひとつの説に固執し、争うべきではないのです。

「先に腐り、後に虫がわく」「先に虫があり、後に腐る」
どちらにも一理がある


 胃もしくは十二指腸内に大量のピロリ菌が発見されたとしても、胃潰瘍あるいは十二指腸潰瘍に必ず罹る訳ではありません。そのため、学者によってはピロリ菌は胃腸の中にもともと存在する菌であり、人体もしくは他の菌と共益共生の関係において、何らかの役割を果たしている、つまりは全くの役立たずではないと考える人も居ます。ピロリ菌だけが胃潰瘍あるいは十二指腸潰瘍の原因であると見なすことは、針の穴から天を覗くような失敗を免れ得ません。これら潰瘍の原因については、大いに論ずべきポイントだと考えます。

 ピロリ菌に薬に対する耐性を持つ隙を与えないためには、一挙に殲滅しなければなりません。そのためには一定の服用量と持続した期間が必要ですが、それだけの量と持続した期間の服用を行えば、副作用を免れることは難しく、短期間にせよ長期間にせよ、患者の身体に悪影響を及ぼします。例えばオメプラゾールはアレルギー、湿疹、肝機能への悪影響を及ぼし、GOTやGPTの数値を上昇させます。他にも下痢、吐き気、頭痛発熱などもあり、妊婦や授乳中の女性は使用することができません。

 ビスマスは長期服用しますと、間歇性のけいれんやめまい、精神錯乱、運動障害や不快感、記憶力の減退、頭痛、注意力の低下、ふるえ、血圧降下、皮膚が赤みを帯びる、便秘、むかつき、食欲不振、色素の沈着などの影響を引き起こします。よって臨床上では多くの症例で使用が禁止されています。例えば慢性消化器障害や重度の消化器潰瘍、便秘、人工肛門を装着した患者には使用が禁止されていますし、日本では全面的に使用が禁止されています。

 抗生物質とは、黴菌や細菌、放射状菌などから分泌される化学物質で、元の菌とは異なる菌や微生物を死滅させる能力がある物質をを言います。しかし不幸なことに細菌は非常に賢く、自らを構成する化学物質や遺伝子を常に組み換え続けることで、抗生物質に対抗し、その効果を弱めます。細菌の繁殖や分裂は非常に素早く、数時間で何世代も交代してしまうため、抗生物質に抵抗することは、非常に容易いことなのです。
 人類は不断の努力を以て、更に複雑で毒性の強い抗生物質を開発し、善処しようと努めてきました。これは人類と細菌の「軍備競争」とも言えます。しかし最後に犠牲になるのはたいがい病人の方であり、細菌ではないのです

 過去の数十年において、抗生物質は感染症によって危機に瀕した命を数多く救ってきました。また、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の治療においても効果を発揮しています。しかし、ピロリ菌が変化して、抗生物質が効かなくなる日が来る可能性は十二分にありえます。ウィリアム・グルック医師は、「広範囲に効く抗生物質を用いることは、満員の飛行場に紛れ込んだテロリストを倒す為に、機関銃を撃つようなものである。テロリストを倒した時には、何の罪も無い通りすがりの人までも射殺してしまっている」(注7)と述べています。つまり我々は自分の身体を薬とピロリ菌との戦場にしてしまっていると言えます。薬の効き目が強ければ強いほど、戦争がより激しくなります。戦いが終わり、ピロリ菌をしばらくの間死滅させたとしても、その時には我々の体は悲惨な荒廃に見舞われています。抗生物質の副作用のひとつに、消化器官や腸内の菌のバランスを崩してしまうことがあります。つまりビフィズス菌などの有益な菌を大量に死滅させ、悪玉菌を増加させます。

 レオ・ガランド医師は、1988年にカンジダ症に関する症候群について講演しましたが、その講演においてガランド医師は、患者の82%は抗生物質により症状が悪化していると報告しています(注8)。



(2)霊芝を西洋医薬とどのように併用するか

(1)霊芝は抗アセチルコリン作用を持っており、胃液が過度に分泌されるのを防ぎ、緊張した胃の平滑筋を緩めます。この作用は、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の治療に際し、大きな臨床的意義を持っています。

 上海医科大学医学院薬理研究室では、以下のような実験を行いました。マウスを束縛状態にして水に22時間浸し、緊張状態にします。マウスは、0.4g、1g、2gの霊芝を投与されるグループと、全く与えないグループの四つに分けられます。(但し霊芝のグラム数は、マウス体重1キログラムあたりの量)。
 緊張状態に陥ると、体内のアセチルコリンが分泌過多となり、その結果胃酸の分泌過多、胃の平滑筋の収縮が引き起こされ、最終的には胃潰瘍が形成されます。ここで四つのグループを比較すると、霊芝を与えないマウスには平均21.1個の潰瘍ができましたが、0.4g、1g、2gの霊芝を与えられたマウスは、それぞれ20.2個、8.1個、6.8個という結果となりました。ここから、霊芝にはアセチルコリンの分泌過多を抑える作用があり、しかもその効果は霊芝の量と正比例する結果を見ることができます。

 また、胃潰瘍の出血量は、胃液中の赤血球の量によって測定できます。霊芝を投与していないマウスの場合、451個の赤血球が検出されましたが、1gもしくは2gを与えられたマウスは、1gの場合は66個、2gの場合はわずかに32個でした。これにより霊芝には潰瘍の出血を抑える作用があることもわかります。
 また、霊芝の替わりに0.04g/1kgのアトロピンを投与したマウスの場合、潰瘍は1.8個、赤血球は88個という結果が得られました。霊芝はアトロピンとほぼ同様の効果であり、しかも霊芝には副作用がありませんが、アトロピンは多くの副作用があります。

(2)…霊芝には、平滑筋収縮をゆるめる効果もあります。下図は、正常な状態のマウスから平滑筋を切り離し、霊芝水溶液に浸ける実験の結果です。

 本実験では100μg/mlの霊芝を用いた場合、以下のような結果が得られました。
1:気管支の平滑筋の張力が8%下降
2:ヒスタミンの引き起こす気管支平滑筋の収縮を36・5%下降
3:遅反応物質(ロイコトリエン)が引き起こす気管支平滑筋の収縮率を20・4%下降

※上海医科大学医学院薬理学研究室(1994)の実験を「神医啓示録」より引用(注9)


(3)…霊芝は胃潰瘍、十二指腸潰瘍の治療の際に、以下のようなさまざまな効果もたらします。

A:ヒスタミンの分泌が多すぎる場合、霊芝はヒスタミンの分泌を適切に遮断し、胃酸の過多によって胃壁が損なわれるのを防ぎます。
B:霊芝には精神を安定させる効果があり、患者の精神的な緊張を和らげます。
C:霊芝は赤血球やスーパーオキシドジムスターゼ(SOD)を14〜35%増加させ、より多くの遊離基を除去させることにより、胃や腸の粘膜が遊離基によって損なわれるのを防ぎます。(注10)
D:コラーゲンを産出を促し、潰瘍の修復を促進させます。
E:免疫力を調節し、T―リンパ細胞を増殖させ、ナチュラルキラー細胞やマクロファージの働きを促進することで、体内に侵入した細菌、かび、ウイルスなどの異物を取り除かせる作用を高めます。
F:肝臓を保護し、腎臓の効能を高め、解毒の効果を高めます。西洋医薬の治療を受ける前に霊芝を服用すれば、細胞が副作用によって受ける害を減らし、西洋薬の効果を強めることができます。
G:アダプトゲンの条件に適合しています。アダプトゲンとは、@無毒(nontoxic)、A広い範囲に効果が及ぶ(nonspecific)、B身体の正常化(normalization)の条件のことで、理想とするべき治療、医薬品、健康食品の条件を指します(注11)。

(4)霊芝はどのように食用すれば良いか
 西洋医学の治療中に、霊芝を食用しても全く問題ありません。朝昼晩の食前30分と寝る前の30分(一日四回)、一回につき2〜3粒の霊芝をぬるま湯で服用するのが一般的です。もし苦味が苦手でなければ、霊芝を口に含んで服用する方法もあります。唾液は中国語では「口水」とも言います。「活」という字は分解すると「千口水」(たくさんの唾液)となります。つまり、唾液を服用することが養生法のひとつとして、古来より伝わっていたことがここからわかります。

 他にも霊芝を口に含む方法には、以下のような長所があります。

A:霊芝が口の粘膜より吸収されると、唾液腺、耳下腺、扁桃腺などの腺体を活性化し、唾液の質を高めると同時に、その量を増やします。また唾液と霊芝が混ざった状態で胃腸に入ると、胃腸を元気にさせる作用をもたらし、胃潰瘍の治癒に大きな助けとなります。

B:霊芝を服用した後、花粉を2〜5g、一緒に服用することをお勧めします。花粉には九十六種類の栄養素が含まれており、この九十六種に葉緑素を加えると、人体が必要とする栄養素のほとんどが揃います。また約九十四種の酵素が含まれていますが、この九十四種で、酵素の六大カテゴリー(酸化還元酵素・転移酵素・加水分解酵素・脱離酵素・異性化酵素・合成酵素)を網羅できています。このように花粉は人体に不足しやすい物質を補う上に、しかも栄養素の過剰摂取を心配する必要もありません。このため、花粉は西洋の自然医学では「パーフェクト・フード」と呼ばれています。また中国医学では、味甘、性平、色黄(脾の力を補う作用があり、性は熱でも寒でもなく、色は黄色)、脾と胃の経絡の上薬(非常に効果の高い薬)と記されています。

C:霊芝に天然総合酵素と乳酸菌を配合すれば、霊芝の持つ人体を正常化させる作用を大いに高めることができます。なぜなら総合酵素は体内あるいは血液中の有害な物質を除去、分解することができ、消化吸収を助けます。また細胞の新陳代謝を促すので、薬物などの有効物質がより早く作用し、効果を高めます。乳酸菌は腸内の善玉菌の力を強め、悪玉菌が簡単に生長しないよう抑制し、有害な物質の発生を抑え、排便を促します。この三者を同時に食用した場合、ほとんどの胃腸の病に何らかの効果を得ることができます。


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